リッチマン、プアウーマン in ニューヨークのストーリー紹介及び感想の続きです。クライマックスまで一気に書きますので、まだ見られていない方で、結末を知りたくない方は、ご注意ください。
ボストンの喫茶店、昼食を取った真琴が大きな背伸びをして、「午後もかんばるぞ」っと気合いを入れたところに、メールの着信音が鳴り、確認すると相手は安岡でした。新婚旅行でハワイにいるという安岡、相変わらずのバカップルな写真も送ってきて幸せそう。
このメール画面が、そのまんまLINEだったのには、思わず、にやりとしました。
さらに着信音が鳴り、「今、日向社長は、ニューヨークにいます」というメールが届く。
そのメールを見て、「えっ?」と固まる真琴。続けて、「予定では、その後、ボストンです」、さらに、細木からも、「日向社長、これからボストンで商談ですよ」というメールが来ます。
場面は、ニューヨークにいる、朝比奈と徹の所に戻り、先に日本に帰る朝比奈が、ボストンに行くという徹に、「ボストンに夏井さんの会社あるよな、会わないのか?」と、問いかけます。それには答えず、感情を押し殺すようにたたずむ徹。
喫茶店の真琴の元には、小川「電話するなら今だよ」、山上「素直になろう、ここは」と、次々とネクストイノベーションやWander Wallの社員達からメールが届きます。なんで、私ばっかりと、困惑顔の真琴。
そこへ、さらにリサから、「ビデオに面白いのが入っていたから送るね」と、動画が送られてきます。
真琴が、スマートフォンで、その動画を再生すると、自分の部屋でソファーに腰掛けて、安岡とリサの結婚式の主賓のスピーチを録画する徹の姿が映し出されます。何回もスピーチに失敗し、撮り直す徹の姿に、「何回やるのこの人」とつっこみを入れながらも、スマートフォンを手に、愛おしそうな目で画面の中の徹を見つめる真琴。
徹のスピーチはどんどん脱線し、「結婚は、本当にめでたいのか」と言い出します。
不穏な空気を感じた安岡が、「お祝い、お祝いの席ですよ」と、たしなめるが、徹は、「うるさい」と一喝して、「何の関係もない、赤の他人の、しかも、男と女が四六時中一緒にいてうまくやっていく、そんなこと果たして可能だろうか、いや、不可能だ」と、いらだちを含んだ声で自問自答する。それを聞いた真琴は、ちょっと悲しそうな、不満そうな顔をします。
徹が続けて、「あいつは余計な事ばっかりするし、何の吟味もするでもなく、ださいものを家に持ち込む」と、腹立ち紛れに言うと、「悪かったわね」と不機嫌につっこむ真琴。さらに、「僕が少し不機嫌だと、2倍キレてくるし」と語気を強めて言う徹に、真琴は、「そうだった?」と、小首をかしげて不満そうに言います。
徹が、「それに、僕が本当に言われたくないことを、何の躊躇も無く行ってくる、だから、こっちも遠慮無く言っていいと思ってしまう、あいつならいい、許される」と言った後、苦しそうな表情になり、「そうやって甘えて、僕は・・・」と言うと、ちょっと逡巡した様子で、言葉につまった後、まるで、画面の先にいる真琴に語りかけるかのように、「僕は、お前を傷つける」と言う。
「だから、お前は僕のそばにいない方が良い」と優しく言う徹の言葉に、別れようと言った徹の真意を知った真琴は、唇を噛み、「バカ」と言うと、その頬を一筋の涙が伝い落ちます。
そこに、また着信音がなり、それは、燿子からの「一生会えなくなるよ?いいの?」というメールでした。
「こんなの、いまさら見たって」と言って、真琴は、泣きながらテーブルに顔を伏せます。
ラングレンラボの研究室に戻って仕事をする真琴。顕微鏡を覗き、データのチェックをしながらも時計を確認しては、時間を気にする様子。しかし、想いを振り切るように、再び顕微鏡に向かおうとします。そのとき、同僚から電話がなってるよと知らされ、確認すると相手は朝比奈でした。
「徹は今、ボストンにいる、急いで」と言う朝比奈に、「もう、何で、何で?みんな」と困ったように言う真琴。
そんな真琴に、朝比奈は言う、「みんな思ってるんだよ、日向徹には君しかいない」、それを聞いた真琴は、悲しみと怒りを含んだ声で、「あの人は私を必要としてません」と反発します。
朝比奈は、それには答えず、「徹、言ったんだ、『今の僕を気に入ってるんだ、あいつが変えてくれたから』」という、留置所の面会室での徹の話を真琴に伝えます。
その言葉に、やるせない面持ちで、考え込む真琴。
-ボストン某所
当たり一面真っ白な雪に覆われ、ハラハラと舞い落ちる雪の音さえも聞こえてきそうな静寂の中、「まだ、少し時間があるな」と言いながら、ゆっくりと木々の間を抜け、階段を降りてくる徹。
「ボストンか」、そうため息をつくように言うと、何かに想いを馳せるように、「どっかには居るんだろう」とつぶやきます。
「どうせ、どこに居たって、がちゃがちゃしてるんだ」、そう言いながら、手の指を丸めて望遠鏡のような形を作ると、それを覗くようにして周りを見渡していく徹。
体を回転させながら、ちょうど後ろを振り返ったところで、静寂を破るように聞こえてくるハァハァと走る息づかいと、見覚えのある姿が目にとまり、ん?と訝しがるような顔で、手を目から離し、もう一度確かめるように両目をこらします。
視線の先には、ドタバタとした様子で、通行人に話しかける真琴の姿が。
「幻覚だな」と言って、視線をそらす徹でしたが、その耳に、メイデン・ウォルターズの場所を尋ねる、あの聞き慣れた声が聞こえてくる。
振り返ると、相変わらず、わちゃわちゃとした様子で、通行人に話しかけている真琴がいて、徹の方を向いて話す様子が目に入り、思わず背中を向ける徹。
道を聞いた真琴が、先ほど自分の降りてきた階段を、息を切らせながら、せかせかと落ち着かない様子で降りてきて、脇を通り過ぎていくのを横目で確認しながら、わざとらしい咳払いをする徹。
小走りで遠ざかっていこうとしていた真琴が、その声にはっと振り返り、徹の姿を目にして、はぁっと安堵とも驚きとも付かない表情を浮かべます。徹は、なんとなく、ばつが悪そうな表情をしています。
小さなレストランに入り、窓際のテーブル席に座る徹と真琴。
なんでいるんだ?と、ぶっきらぼうに聞く徹に、GPSたまたま見ててとか、私の何かがこう反応したんですかねぇと、とぼける風に言う真琴。
不満そうにため息をつく徹を見て、急に怒りが沸き上がってきた真琴が、「言いたいことがあったんです。だから来たんです」と、徹を睨むように見つめて言います。
迷惑そうに、「何だ」、と聞き返す徹に、「違ったって何ですか、僕らは違ったって、だいたい、一緒に闘ってる感じって、そりゃ、確かに私たちそんな感じだったかもしれないけど」と、矢継ぎ早に、まくし立てるように言うと、言いにくそうに目を伏せ、「でも、だったら、そばにいろとか言わないでください、そっちが好きっていったんでしょ」と悲しそうな顔で批難するように言います。
そんな真琴に対し、徹は、「それは、お前が言わせたんだろう」と、決まり悪そうに言い捨てます。
それを聞いた真琴は、「じゃあ、本心じゃ無かったって事ですか?最悪、日向さん、最悪です。」と、声を荒げて批難する。
わざわざ、そんなこと言いにきたのか、文句があるなら電話でもメールでもすればいいじゃ無いかと、苛立って言う徹に、電話もメールもしないって約束したじゃないですか、だから来たんですと、ちょっとケンカ越しで言い返す真琴。
「じゃあ、言うだけ言ったんだ、もう用は済んだな」と素っ気なく言う徹に、真琴は、「すみましたね、じゃあ、さようなら」と、無理に笑いを浮かべながら席を立つと、レストランを出て行こうとします
自分から遠ざかっていく真琴の足音。
俯いて、その音を聞いていた徹が、意を決したように顔をあげ、「待て!」と命令口調でいいます。
「なんですか」立ち止まった真琴が振り返り、そう聞くと、「こっちの用がすんでない」と徹が椅子から立ち上がり、そこに歩み寄ってくる真琴。
無表情で、真琴の顔をジーッと見つめ、何も言わない徹。さらに、よく見ようとするように徐々に顔を近づけていきます。
何も言わずに、ただ自分を見つめる徹に、なっ、なんですかと、ちょっと後ずさりしながら動揺する真琴。その慌て振りから、内心どきどきな心情が見て取れます。
そのまま、何も言わない徹に、真琴は、「言いたいことが、あるなら言えばいいじゃないですか」と怒りますが、徹は、黙って真琴の顔を見つめるだけ。やがて、「もういい」と言って、席に戻ってしまいます。
徹の意味不明の行動に、「遠慮しないで、今言わないと言う機会はもう無いですよ」と、怒り口調で促す真琴ですが、徹は、「僕の用は、もう済んだ」と言って、目をそらしてしまう。
そして、遠くを見つめ、つぶやくように、「僕は、お前の顔が見たかった」と言います。思いがけない、その言葉に、ハッとした表情で徹の顔を見つめる真琴。
そんな真琴に、徹は、「見れた、だからもういい、行け」と促します。、
感情があふれ出した真琴は、目に涙をいっぱいにためながら、「行けって、いけるわけないでしょう。」と、徹に想いをぶつけます。
私だって、あなたの顔が見たかった、声が聞きたかった、ちゃんと向き合おうとするとケンカしてしまうし、二人で楽しかった思い出なんて全然無い、でも私、ケンカするなら、相手はやっぱりあなたがいいと、泣きながら訴える真琴。
徹は、その言葉に心を揺さぶられた様に、俯いていた顔をあげますが、その感情を抑える様に窓の外を見つめ続けます。
「私、頑張って変わるから、だから、日向さんも変わってくれませんか」そう問いかける真琴の言葉に、沈黙したままの徹。
その様子に、ハハッと笑って、日向さんが変われるわけが無い、人に合わせるなんて無理、無理!と、声を荒げて、やりきれない思いをぶつける真琴。
そんな真琴に、「そうか、お前は僕をそんな人間だと思っているのか」と、なじるように言う徹。真琴は、「お前といると、僕らしくいられないって言ったの誰よ?」と強い口調で言い返します。
徹は、真琴の方をチラリと眺めると、2,3度頷いて「確かに言った、でも、そんなやつは、くそだな」と自嘲するように言う。
それを聞いた真琴が、状況が飲み込めずに、えっ、えっ、と聞き返すのには答えず、徹はさらに、「自分らしくいたいというのは、つまり、過去の自分を甘やかして楽をしている。そう、臆病者の考えだ」と続ける。
真琴の頭に、?マークがどんどん増えていくのを尻目に、徹は、演説を続ける、「しかし、人間は、突如として勇敢になることもある。」
混乱した真琴が、「ちょっと待って、何?」と、聞き返すと、「分からないか、要するに・・・」と、その先の言葉に躊躇した様子で、言いよどんだ後、「好きならいいんだ」と、明後日の方を向いてつぶやくように言います。
中学生の告白か(^_^;
まだ、キョトンとしている真琴に、椅子から立ち上がった徹が、「自分を変える事なんて簡単だ、僕をなんだと思ってる?」と、今度は、ハッキリと伝えると、真琴は、少し驚いた顔で、徹の顔を見つめます。
「いいか」と、力強く言った後、迷うように「僕は」と、言葉をにごし、すごく言いにくそうな様子で、目線をあちこちに泳がせる徹。真琴は、不安と期待に満ちた目で徹の言葉を待ちます。
落ち着かない目線が決心したように前を向き、真琴と目が合うと、いきなり真琴の唇に自分の唇を合わせる徹。
長い口づけの後、徹は、真琴の目をハッキリと見つめて、「お前のためなら、変われる」と、やさしく、でも声に力を込めて言います。
その言葉に、緊張していた真琴の表情が一気に緩み、ブワッと溢れる涙と満面の笑みで顔をクシャクシャにしながらマフラーで口元を押さえて泣き出します。
その様子を、ばつが悪そうに眺める徹。
泣きはらした目で、徹を見つめ、「じゃあ、今、変わったとこ1個、見せて」という真琴。
「何だ」と問い返す徹に、しばらく考えた真琴は、「名前で呼んで」とお願いしますが、徹は間髪いれずに「無理」と返すと、唖然とする真琴を置き去りに、「飛行機の時間だ」と言ってレストランを出て行ってしまいます。ええっと叫び、椅子に置き忘れた、徹のコートを胸に抱えて、あたふたと後を追いかける真琴。そのドタバタな様子を背中に聞いた徹の顔には、楽しそうな笑みが浮かんでいました。
日本行きの飛行機の中、ビジネスクラスのゆったりしたシートに座り、キャビンアテンダントから毛布を受け取っている徹。そこに、メールの着信音が鳴り、「早速か、これは結構面倒くさいぞ」と言いつつ、メールを確認する。
真琴からのメールには、「あなたの押し入れは私がいっぱいにします!」のメッセージとともに、たくさんの拳の絵文字並んでおり、最後にはハートの絵文字が、それを見た徹の顔はフッとほころび、「ごちゃごちゃした物ばかりになりそうだな」と言って、スマートフォンを脇におくと、ポケットから何か紙を取り出し、広げて、スマートフォンで写真を撮ります。
画面に映し出されたその紙は、真琴の「実家に顔を出してきます…」の手書きのメモでした。
スマートフォンの画面上に並ぶ、ハードディスクなどの雑多な写真とともに、「ガラクタ」とタイトルのついたアイコンの中に、真琴のメモの写真をしまい込むと、シートを倒し毛布にくるまって横になる徹。その表情は、とても満ち足りた様子で、ほほえんでいました。
最初に見たとき、この、真琴の何の変哲も無い(というか色気もなんにもない)手書きのメモを徹が大事にしている意味がよく分からなかったのですが、今回、見返して何となく分かったような気がしました。
何も無いガランとした部屋で、たった一つ真琴の居た証が手書きのメモであり、それは、徹にとって、真琴とのつながりを示す唯一のアイテムだったわけで、それを捨てることは、完全に真琴との繋がりを断ち切ってしまうことになるという思いが、徹にあったのかなと、そんな風に感じました。
さて、ストーリーに戻ります。
画面には、連続ドラマの最終回で、朝比奈がネクストイノベーションに戻ってくるところ、真琴がブラジルから帰国するところが流れます。(いろいろと矛盾点が出てしまっていましたが、しょうがないですね。)
そして、場面が変わり、徹の家の玄関で、「どうぞ」と優しく入るよう促す徹、「はい」と遠慮がちに答える真琴。
「一つ言っておく、タオル掛けにタオルを掛けるのは許す」と言う徹に、うれしそうに反応する真琴。「ただし、熊柄は駄目だ」と徹に言われ、「えーっ、なんで」と不満そうに言います。
徹は、「当然だ、これ以上、浸食されたらかなわない」と、ぶっきらぼうに言うと先に部屋の中に入っていきます。ちょこちょこと後から部屋に入る真琴が、洗面台の前を通ろうとすると、タオル掛けに掛けてあるタオルが目に入ります。
うれしくなって、満面の笑みで振り返る真琴に向かって寝袋を投げつける徹。「投げないでよ」と真琴が抗議すると、「真琴のはそれだ」と、抗議をあまり気に掛ける様子も無く言います。
その言葉に、はっと目を見開き、驚きと喜びが入り交じった顔で、「今、真琴って」と、名前で呼んでくれたことに、大はしゃぎする真琴。
そんな真琴を見て、あくまで冷静な徹が、真琴の方を指さしながら、「ま、こ、と、だろ」と言うと、真琴は、徹の元に駆け寄り、冷蔵庫から何か取り出そうとしていた徹を無理矢理振り向かせて、2回、チュ、チュという感じで唇にキスをします。
「もう一回」と、笑顔でおねだりする真琴に、「バカップルか」と言う徹。「うん」と笑顔で即答する真琴。徹は苦笑しながら、もう一度、「ま、こ、と」と呼びます、それに真琴も、「と、お、る、ウフフ」と、うれしそうに満面の笑みで答えると、徹も、「もう一回」と頬を緩めながら言うのでした。
終わり
リッチマン、プアウーマン in ニューヨーク、とても面白かったです。特に、徹と真琴の恋愛の描写に時間を割いてくれており、なんと、ラスト20分ほどは、ほぼ二人っきりという、サービスぶりで、恋愛ストーリーとして最高のスペシャルだったと思います。
公式HPで、「朝比奈が戻ってくるまでの連続ドラマでは描かれなかった空白の1年9カ月が描かれる。」と成っていましたので、結末は初めから分かっているようなものでしたが、それでも、さとみちゃんがとても表情豊かに真琴の感情を表現してくれるので、どちらかというと、真琴の方に感情移入して、ハラハラしたり、切なかったりと、物語にどっぷりはまることができました。
もうちょっと、二人のイチャイチャを見てみたかった気もしますが、それは、続編でのお楽しみということで。続編までには、とりあえず、シングルでいいから真琴の為にベッドは買ってあげて欲しいですね。(^_^;
長々と、感想というより、ストーリーの書き起こしになっていまいましたが、最後までおつきあいいただきありがとうございました。