5→9~私に恋したお坊さん~

あなたが教えてくれたんです。人を愛するとどのような心地になるのか 月9ドラマ「5→9~私に恋したお坊さん~」 第8話、第9話 ネタバレ感想

ご無沙汰しております。このところ仕事や家のことで忙しく本ブログの更新が滞ってしまっていました。第8話の感想も書けないままでいましたが、今回、まとめて第8話と第9話の感想を書きたいと思います。

第8話感想

まずは、第8話の感想について簡潔に書いておきます。

潤子と高嶺が付き合うことになり、いきなり同棲するというスピード違反な展開の回でした。

潤子と高嶺以外の人物の関係についても、もうあまり時間を割けない(潤子と高嶺にストーリーを集中する)ということもあり一気にまとめに懸かってきた感じですね。

潤子と付き合うようになった高嶺が凄く表情が豊かになったのが印象的でした。

潤子から一度帰ったのにまた来たことを突っ込まれて「来ちゃった(ハート)」とおどけて見せたり、満と恵子のイチャイチャ話を聞いて、潤子にも「イチャイチャしませう」と歴史的仮名遣いで迫ったり、おでこにチューされて「うわぁー」と喜んだり、手を握ってもらえただけで満足そうな笑顔になる。

潤子と居ることが、潤子に好きになってもらえたことが凄く嬉しいことだというのが全身から伝わってきます。

対して潤子の方も「いとまを頂いたので、しばし一緒に居られます。」と高嶺から聞いた時の嬉しそうな表情とか、寝るときに手を握ったときの幸せそうな笑顔とか、病院でお弁当を渡されたときに手を握られて はにかむ表情とかこちらも高嶺が好きって感情がストレートに表れていて心がポカポカする二人でした。

高嶺が後ろから潤子を抱きしめて「こんなことをしてしまうのは潤子さんだけです、潤子さんの笑顔が見たくて色々なことをしてしまうんです。」から、「離して」、「絶対に離しません」とイチャイチャするシーンとかお前ら勝手にやってろ ┐(´ー`)┌ って言いたくなるくらい甘いシーンでした。

いつものように小ネタも効いていて、キスする直前で邪魔が入るのも もはやお約束ですね。上のイチャイチャのあと父親の満の声でサッと離れて寝たふりをする二人は秀逸で、特に高嶺のうつぶせ寝は爆笑しました。

ただ、二人がキスをしようとする度に邪魔が入ってお預けも一度や二度ならいいのですが、あまりやり過ぎて食傷気味なのも事実です。

いいかげんキスぐらいはと思いましたが考えてみれば潤子と高嶺がイチャイチャしてるのを家族は全部聞いているわけで、今の高嶺にデレデレな潤子なら二人っきりの同棲だと暴走して原作のような”むふふ”な状態もありそうなので、そこまで見越して実家での同棲をさせたなら、潤子の母親はかなりの策士だなと思いました。

でも最終回くらいは二人のキスを期待したいです。

和げさに香織の口紅がついていたことで高嶺を尋問する潤子は、やはりかなり嫉妬深い性格のようですね。しかし家から高嶺と父親を追い出すところはコントを見ているような印象を受けてしまいちょっとやり過ぎな感じがしました。面白かったですが。

潤子と呼び捨てがなかなかできない高嶺が、「じゅ、じゅん……」と何回も練習するシーンも面白かったです。この後の潤子のジャージを抱きしめる姿は第1話の頃ならなかなか変態チックに見えたかもしれませんが、今の高嶺がやると微笑ましく思いました。

潤子が自分の子供を妊娠していると自ら噂を流しライバル達をあきらめさせるようとする高嶺は意外とやり方がえげつないですね。(^_^;目的のために手段を選ばない所は相変わらずのようです。

ひばりに絶対に高嶺の嫁として認めないと言われ、また住職の光栄にも高嶺のために別れてくれと言われて、最後は潤子が高嶺のことを思って身を引く展開かなと思っていたので、潤子が「別れたくない」と言ったのは意外な展開でした。でも潤子の高嶺に対する気持ちがそれほどまでに強くなっていたことが分かって良かったです。

このシーンで潤子のベッドの「YES、NOまくら」が「YES」になっていたのは潤子の心を表していたのかと思いました。

さて、ここからは第9話の感想を書いていきます。

互いが互いのために

第8話でひばりと住職から高嶺と別れるよういわれたものの、すでに高嶺のことがどうしようもなく好きになっていた潤子は、ELAを辞め自分の夢を諦めてでも高嶺の為に努力することを決意します。

ひばりに土下座までしてなんとか一橋寺で再び花嫁修業をすることになった潤子は、早朝の本堂の掃除に墓や門の掃除、3食の準備にひばりの小間使いとさんざんこき使われてもへこたれずに頑張ります。しかし、そんな潤子にひばりはどれだけ努力しても無駄だと言います。その理由は「潤子が嫌いだから」という一方的なものでした。

なぜ嫌われているのかその理由すらわから無いのは辛いですよね。せめて理由が分かればそこを直す事が出来るのですが、それが分からなければどうしようも無いですから。

囚人にさせる拷問の一種に穴を掘らせて掘り終わったらまた埋め戻すという作業を延々と続けさえるというのがあり、そうするとその囚人は精神に異常をきたして発狂してしまうというのを何かで読んだ記憶があります。人間は何も目標も無く達成感も無い状況に置かれることが一番辛い事であるということのようです。(調べるとどうやらドストエフスキーの「地下室の手記」に記載があるようです。)

潤子が置かれた状況がこれと同じとまでは言いませんが、努力しても報われない状態は精神的にかなりのストレスであることは間違い無いでしょう。

だんだんと笑顔の無くなっていく潤子を心配する高嶺ですが、潤子を失いたくないという想いからただ抱きしめて言葉をかけるしか出来ないでいるようでした。

そんな高嶺の想いを断ち切らせたのは他ならぬ弟の天音でした。

天音は潤子が高嶺のせいで夢を諦めたこと、寺の住職も潤子も手に入れたいという高嶺の我が儘が潤子の人生を狂わせたと兄さんは思いもしないんだと言って高嶺を攻めます。

その言葉は高嶺にある決意をさせたようです。

ビルの屋上でベンチに座り誰かを待っている潤子。そこに高嶺が現れます。

第8話ではあれだけ多彩な表情を魅せていた高嶺が、この時は能面の様な表情だったの凄く印象的でした。

潤子に初めて好きと言った場所で「私はあなたのことが嫌いです」と初めて嘘をついた高嶺の感情を押し殺すかのようなその表情は、逆に凄く切なく感じました。

お互いがお互いの為を思って行動した結果、別れが訪れるというのは本当に切ないなと思いました。

灰かぶり姫

第9話は、第2話とところどころ対比になっていることに気付きました。例えば、

①潤子が一橋寺で花嫁修業する。嫌々 ⇔ 自ら進んで
②潤子が疲れて眠ってしまい、高嶺にお姫様だっこで布団に寝かされる。幸せそうな寝顔 ⇔ 涙
③ビルの屋上のベンチに座っている潤子の元に高嶺が現れる。好き ⇔ 嫌い
④電話の向こうの桜庭家の食卓 住職のお礼の肉 ⇔ 天音の差し入れの肉
(以上の矢印の左右は第2話と第9話の対比になっています。)

前々からこのドラマは潤子と高嶺が対になっているところがあると書いてきましたが、これから推察するに最終回の結末は、第一話の高嶺の灰かぶりの再現かなと思います。

このドラマは靴(ガラスじゃないけど)を履かせたり、意地悪な継母役(ひばり)がいたりとシンデレラのオマージュ的な要素がところどころ見られるのですが、シンデレラの語源は「灰かぶり」だそうで一話の高嶺の状態そのものです。(実際は灰かぶりは貧しい人という意味だそうです。)

もちろん潤子が灰をかぶるとは思えないので、「灰」はこの場合「雪」かなと、クリスマスツリーの前で待つ潤子、そこに高嶺が現れますが、折からの雪で枝に積もった雪が落ちて潤子は雪まみれになりまるで灰をかぶったみたいな様子に高嶺が「初めて会ったときのようですね」。もちろん妄想です。

天音の苦しみ

両親を「赤の他人」と言い、香織が高嶺たちの両親の仏壇に供えた花を投げ捨てる天音。

両親が亡くなったときは天音はまだ物心がつく前で、まったく両親に対する記憶がないでしょうし、それだけに思慕の念もなく、むしろ両親が亡くなったことで自分が不幸な境遇に置かれたと逆恨みしています。

そして祖母のひばりが兄の高嶺を可愛がり、自分は遠く京都の寺に一人だけ修行にだされたことを恨んでいます。

そんな境遇から生まれた屈折した想いから「兄さんのものは俺がすべてもらう」と言っていた天音ですが、なぜか潤子にだけは手をだしていません。そこまで描く時間がないというと身も蓋もないですが、「全て奪ってぐちゃぐちゃにして捨ててやる」と香織に対して言っても、高嶺は香織に何の感情も抱いていないため、「奪う」という行為そのものが成立しないですよね。

それどころか高嶺にもっともダメージを与えられそうな潤子を「奪う」という行為をしないで、どちらかというと潤子にとって障害になる香織を「奪う」ことで潤子を助けているような気がします。

高嶺に対しても「兄さんの我が儘が潤子さんの人生を狂わせたなんて兄さんは思いもしないんだ」と潤子を思いやっているかのようなことを言います。

もしかすると、最初は潤子を奪ってやろうと思っていたけど、潤子や潤子の家族と接しているうちに、桜庭家の家族の温かみや仲の良さに自分の求めていた家族があることが気付き、今の潤子のその家族を奪われたような状態が自分と重なったと言うことなのかも知れないなと思いました。

天音は、「兄さんに復讐する」と言いながら高嶺にひばりとの待ち合わせの時間について嘘をついたことや一橋寺を解体するとか手の内全部晒しちゃう当たり、悪者になりきれないというか根本的にはいいヤツな気がします。

ひばりが潤子を嫌いなわけ

高嶺に潤子に辛く当たる理由を聞かれたひばりが「私は潤子さんがきらいなだけです」と答えていましたが、これほどまでに潤子を嫌う理由はなんなのでしょうか?

私が第4話の感想で高嶺の母親はもしかすると潤子に似た人で、ひばりが潤子を快く思わない理由もその辺にあるのかもと書きましたが、それが当たっているとするなら、「あの人といるとあなたは不幸に巻き込まれる」と言うことは、ひばりは高嶺の父親が亡くなった原因を高嶺の母親が作ったと思っていて、その母親に似ている潤子に今度は孫まで奪われると八つ当たり的な想いを抱いてるのかもと感じました。

そんなひばりですが、天音の苦悩を聞いて自分がいかに我が儘で天音や高嶺を苦しめてきたかに思い至り改心するという流れかなと思いました。

こうみると天音って結構、キーマン的な役割を担っていますよね。

香織の選択

ひばりに無理矢理天音と結婚させられそうになったり、天音に突然唇を奪われたりと可哀相な香織ですが、天音の自分の生い立ちに対する苦悩の告白を聞いて、彼が高嶺やひばり、両親さえも恨む理由を知り、何かを感じたような表情をしたことから、もしかすると天音の孤独を知り、そんな天音に心を開いていくという展開かもと思いました。

そんな香織は潤子と別れて生気を失ったような高嶺にたいし、「そんな覇気のない高嶺様は嫌いです」などど言って、高嶺を”フッて”、潤子との恋を応援する側に回るような気がします。

次回予告

いよいよ最終回となる次回。寂しいような楽しみなようなそんな複雑な心境ですが、やはり高嶺と潤子には結ばれて欲しいというのが希望です。

気になるのは予告でELAのみんなや寺のみんな商店街の人たちが持っている感謝状です。

一体何に対する感謝状なのか、もしかすると一人一人違っている可能性がありますね。例えば木村アーサーは高嶺のおかげで百絵と付き合う切っ掛けができた。百絵は初めてのリア友とリア彼ができた。里中由希は本当の自分を表に出すことができた。まさこと蜂屋は付き合うことになった。三嶋は……微妙。

そんな高嶺が現れたことで起こったちょっとした良いことへのそれぞれの感謝状なのかなと思いました。

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