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「しずやしず」大河ドラマ「義経 完全版」感想5

長々と書いて参りました、大河ドラマ「義経 完全版」DVDのストーリー紹介及び感想もいよいよ今回が最後となります。

この記事から読んだ方で、最初から読みたいという方もいらっしゃるかも知れないので、念のため、感想の1回目へのリンクを張っておきます。

大河ドラマ義経

さて、いよいよさとみちゃんの最大の見せ場となる静御前の鶴岡八幡宮での奉納舞のシーンが描かれます。悲しい運命に翻弄される静の、美しくも儚い一瞬の輝きが鶴岡八幡宮の舞殿に降臨します。

第四十六回「しずやしず」

六波羅の鎌倉方の屋敷に捕らえられている静は、先行きの見えない不安を抱えて日々を送っていました。

一方、義経主従は、静の居所を突き止め救い出す算段をしていました。そこに、商人の吉次の妻のあかねが訪ねてきて、静を鎌倉に送ろうという動きがあると伝えます。

鎌倉に送られるならその道中を襲う方が、屋敷に押し入るよりたやすいと郎等達は、鎌倉へ出発する静を、その道中で奪い返す作戦を話し合います。そこへ、あかねが静の母親の磯禅尼を伴い現れ、磯禅尼から義経に話したいことがあるそうですと伝えます。

義経主従は、静を奪い返したら磯禅尼も一緒に平泉へ行きましょうと言いますが、磯禅尼は、そのお心だけで十分、静の事もどうかお構いくだされますなと言います。

驚く義経に対し、今、義経たちが動けば静の思いが無駄になる、静は六波羅の厳しい詮議にも何も答えなかったはず、それは、義経や家来衆、吉次たちに災いが及ばぬようにとの思い、静を奪い返しても鎌倉勢の手は都の何の関わりの無い人々に及ぶ、そうなっては静の思いが報われない、義経主従の身代わりとなって、鎌倉に行く覚悟と存じますと切々と説く磯禅尼の話を、義経は辛く悲しそうな表情で俯いて聞いていましたが、「なれど、静を鎌倉に渡して、我らだけで逃れることなどできぬ」と訴え、郎党たちもうなづきます。

磯禅尼は、感極まったように、「そのお心のみで、静は十分でしょう」と言い、頭を下げます。その姿に何も言えず、ただ悲しそうに俯く義経。

三日後、山伏の姿になった義経主従や、吉次、あかねたちが旅立ちの準備をしている所に、お徳のところで働いている烏丸が、六波羅から静を乗せた輿が出発すると告げに来ます。吉次は義経に、磯禅尼が言われたとおり、くれぐれも静を奪い返そうとはしないように言い、義経は、密かに静の輿を見送るだけと答えます。

都の通りをゆっくりと進む、静を乗せた輿とそれを警護する侍たちの行列。その様子を、見物の町民達にまぎれて、山伏姿の義経主従が見送ります。

そこに、朱雀の翁が現れ輿の中は空だと告げます。義経をおびき出す罠だと憤る郎等たち。その時、輿の行列の前に忠信が現れ、「静様」と叫びながら、警護の侍たちに斬りかかっていきます。

乱戦のなか、忠信が斬られるのを見た義経や次郎が助けに入ろうとするのを必死に止めようとする弁慶や三郎たち。

結局、忠信は、義経主従に見守られ静を守れなかったことを謝りながら絶命します。

悲しみに沈みながらも、その夜、京の都に別れを告げる義経主従。実はこの時既に、静は都から鎌倉に送り届けられていたのでした。

鎌倉に連れてこられてからも、厳しい詮議に一切答えない静に、頼朝が直々に会うことになり、頼朝は静に、何も答えないのは何故かと問います。

静が、「おわかりになりませぬか」と問い返すと、「わからぬが」とさらに問い返す頼朝。その傍らでは、値踏みするように北条政子が静を見つめています。

静は、真っ直ぐ頼朝を見つめて、「私、義経様よりお情けを賜りまして御座います。その義経様を初め、義経様を陰から助け匿われた、多くの方々に災いが及ばぬようにするのが、私の皆様のご温情に報いる道で御座います。」と、目に涙をためて、訴えかけるように言います。

何も言わずじっと聞いている頼朝に静はさらに、「こちらも、頼朝様にお尋ねしたきことが御座います」と逆に頼朝に問いかけ、頼朝の家臣に控えよと諫められますが、是非にと言う静に、「聞こう」と話を促す頼朝。

静は、頭を下げ床を睨むように見据えながら、「御弟であり、平家追討に功のあった義経様を、何故討たねばならぬのでしょうか、義経様を戦のみに駆り出されたので御座いましょうか、義経様の評判への妬みでしょうや、憎しみでしょうや」と、批難するように怒りを含んだ声で問うと、その言葉に頼朝は、視線を落としてしばらく考えた後、悲しみと哀れみの表情で、「弟ゆえじゃ」と、仕方の無いことと言うように答えます。

それを聞いた静は顔を上げ、悲しみと怒りとたたえた目で頼朝の顔をじっと見つめるのでした。

静の詮議を終え、館の廊下を歩きながら静のことを話す頼朝と政子。政子は静が身ごもっていると言います。驚いた頼朝がいつ生まれるかと聞くと2,3ヶ月の内にと答える政子。

頼朝は、政子に出産に立ち会い子を確かめるように命じ、女子ならよし、男子ならわかっているなと念を押すように言います。

義経主従は、追捕の兵から身を隠すため、道無き道を進んでおり、あるときは留まり、あるときは遠回りをし、その工程は遅々として進まず、季節が夏になっても近江と越前の国境辺りをさまよっていました。

同じ頃、静は、義経の子を出産していました。赤ん坊の泣き声が館に響く中、政子の所に侍女が報告に来て男児であることを告げると、政子は一瞬ハッと驚いた様に目を見開きますが、すぐに能面のような表情にもどり頷きます。

翌朝、寝所で目を覚ました静は、幸せそうな表情で、傍らに寝かせられているはずの我が子の姿を見ようとしますが、近くには見当たりません。

静は、辛そうに布団から起き上がると、側で控えている侍女たちに、「子は、義経様の子は」と聞きますが、侍女達は俯いて何も答えようとしません。

その様子に、愕然として何が起こったかを悟った静は、疲れた体を引きずるようにして、赤子を探し回ります。

そこに政子が通りかかり、それに気付いた静は、「子に合わせて下さりませ」と必死の形相で訴えますが、政子は冷たくここには居ないと答えます。

静は、政子にすがりつき、今すぐ子に合わせて、顔を見せてと懇願しますが、政子は黙って答えません。

その様子に、赤子の運命を悟った静は、「義経様のお子を亡き者になされたな」と半狂乱になって政子につかみかかりますが、侍女に引きはがされ、床に突っ伏して悲しみと怒りに大声で泣き叫びます。

それからしばらくして頼朝と家臣達が義経の消息がぷっつり途絶えたことを話し合っていました。各街道の警護を怠らないよう命じる頼朝。

そして、家臣の大江広元や善信たちが、鶴岡八幡宮の落慶祝いに京で評判の白拍子である静の舞を奉納させてはどうかと言う声があると言い、梶原景時も 静の舞を見たいという御家人が多いと報告します。裁断を求められ思案する頼朝。

夜、館の縁側に一人座り、魂の抜けたような表情で、庭を見つめる静の姿がありました。その顔を月の光が冷たく照らしています。

と、そこに、政子が訪ねてきて、近々、鶴岡八幡宮で祝い事がある、その時静に舞を奉納してもらいたいと告げます。

何も答えない静に、「受けてもらえるとは思わないが、御家人たちの望む声もあり聞くだけ聞いただけだ」と言って帰ろうとする政子に、「お受けいたしましょう」と、幽鬼のようなか細い声で答える静。

政子は静の方を振り返ると、静を見つめて、「果たして、今の様子で舞うことができるのか」と問いますが、静はそれには答えず、催しはいつかと問い返します。

「来る十日、なれど、万一粗相があれば祝い事には不吉」と、疑うように言う政子に静は、「私のことよりも、舞にはそれなりの支度が要りまする、舞の装束、太鼓や銅拍子などの鳴り物、それらを奏でる腕に覚えの方々、鎌倉でそれらを用意できますか」と、皮肉を込めた挑発的な視線を政子に向けて言います。

それに対し政子が、「望みのままに、揃えてみせましょう」と笑みを含んだ挑戦的な表情で言い返すと、静は、政子の方に向き直り、深く沈んだ感情を押し殺した目で政子を見つめると、深々と頭を下げるのでした。

それから、半月後、鶴岡八幡宮の落慶祝いの日がやってきました。

頼朝や政子、鎌倉の御家人たちが居並ぶなか、境内に響く笛の音や鼓の音に導かれるように、水干に白袴、烏帽子姿の静が舞殿の中央に進み出てくると、その場で正座し、頼朝たちに向かってお辞儀をします。

そして、おもむろに立ち上がると、全ての思いを込めて歌い舞う静。

「吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき」

歌の内容にざわつく鎌倉の御家人達、北条時政が「鎌倉の万歳を祝うべき場で、謀反人を慕って歌うとは、なんとしたとこか」と吐き捨てるように言いますが、政子の「静まるが良い」の一言で皆、黙り込みます。

「しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな」

無数の紅葉が舞い落ちる中、舞終わった静が、正座をしてお辞儀をすると。「見事じゃ」と政子が立ち上がって賞賛します。

政子は、「命を張って己の想いを、敵のただ中で披瀝した心意気、見事と言うほかありませぬ」と静を庇い、褒美を取らせて都に返しましょうと頼朝に進言します。

一方、義経達はようやく越前の国の国境付近にたどり着いていました。しかし、その行く手にはさらなる厳しい茨の道が待ち受けていたのでした。

ストーリーはここまでです。

この、「しずやしず」の歌について、ネットでいろいろな解釈を読みました、伊勢物語や古今和歌集の元歌があって、頼朝への痛烈な皮肉が込められているという話など面白かったです。

自分は「をだまき」の詩にこの大河ドラマでの静の想いを重ね合わせました、オダマキと言えば、京の都で静が義経と暮らし始めた頃(第26回)、庭に静が植えたオダマキの花を義経と二人で見つめ、このような穏やかな日々が、いつまでも続けばよいのにと微笑み合っていたころが、二人にとって最も幸せな時期だったと思うからです。

その後、義経は平家との戦の日々で殆どいっしょに過ごせず、平家を討ち滅ぼしても今度は頼朝に追われ暗殺者まで差し向けられて、二人で穏やかな日々を送ることはできなかったのですから。

ドラマの中で政子の言う、「静よ静よと繰り返し私の名前を呼んでくれた昔に戻りたい」という静が歌に込めた想い、静がその詩を歌ったとき脳裏に浮かんでいたのは、オダマキの花をいっしょに眺めて微笑み合った義経との幸せな日々だったと想像すると、ちょっと、もの悲しく切ない気持ちになりました。

静の舞についてですが、歌声こそ本人のものではありませんでしたが、さとみちゃんが特典映像のインタビューの中で、このために1年半頑張ってきたと言っていただけあって、美しく迫力のあるすばらしいものでした。

頼朝と政子を見つめる眼差しは殺気すら感じさせるほど冷たい感じで、最初見たときはゾクっとしたほどです。シチュエーションは違いますが、「ブルドクター」、「彼は、妹の恋人」、「リッチマン、プアウーマン in ニューヨーク」で見せた、氷のような冷たい視線は、この時身につけたのかも知れませんね。(^_^;

第四十七回「安宅の関」、第四十八回「北の王者の死」には、さとみちゃんは出ていません。

最終回「新しき国へ」

やっと、平泉にたどり着いた義経主従でしたが、程なくして頼みの綱の藤原秀衡が亡くなり、後をついだ藤原泰衡は、頼朝の再三の義経を差し出さねば攻め入るとの脅しに屈し、義経の屋敷を取り囲みます。

迎え撃つ義経主従、しかし、大軍を相手にたった6人では抗しがたく、一人また一人と郎等たちが倒されていきます。

とうとう、義経と弁慶の二人だけになり、持仏堂に逃げこんだ二人。最後を覚悟した義経は、弁慶に防ぎ矢を頼みます。

持仏堂の外にでた弁慶は、持仏堂に敵を近づけぬように敵の矢を受けながらも薙刀を振り回して敵をなぎ倒していました。

義経は、持仏堂の中で小刀を首筋に当て一気に引きます。その瞬間、光が持仏堂から溢れ、その光の中に白馬が現れ天を駆け上がっていきます。

その姿を目にした瞬間無数の矢が突き刺さり、立ったまま絶命する弁慶。

京の都の母の元に身を寄せていた静の元に、うつぼが義経の死を伝えに来ます。

うつぼは義経の静への伝言である「われらの新しき国がかなう時は、必ずや呼び寄せる、その時まで、息災に」との言葉を伝えます。

それを聞いた静は悲しみに沈んだ表情で、「新しき国…」と呟くように言いますが、その想いを振り切るように笑みを浮かべると、「うつぼも」と言います。少し微笑んで「はい」と応えるうつぼ。

うつぼは、持仏堂から光が吹き出て、天に駆け上っていった、あれが義経様の最後だったかもしれないと静に話します。

それを聞いた静は、空を見上げて微笑むのでした。

大河ドラマ「義経 完全版」DVDについて、紹介してきました。最後にさとみちゃん関連の特典映像について書いておきます。

義経を愛した女達:8分ほど、撮影秘話や静を演じた感想などを語っています。
出演者クランクアップメッセージ:さとみちゃんのクランクアップは9月21日でした。

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