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小説「眠りの森」感想

東野圭吾さんの小説「眠りの森」を読みました。本作は、東野さんの作品の中でも、ガリレオシリーズと並んで人気の高い加賀恭一郎を主人公とした一連の作品の一つで、その2作目に当たります。

加賀恭一郎を主人公にした作品は、これまでも、「新参者」が連続テレビドラマ、「麒麟の翼」が映画、「赤い指」がスペシャルドラマ化されてきました、そして、2014年1月に、本作「眠りの森」がスペシャルドラマとして製作されることが先日、発表されました。

え、何故、このブログで、そんな話をするかって、それは、twitterで、9/19に神奈川県大和市の引地台公園というところで、阿部寛さんとさとみちゃんが撮影をしているという多数の目撃情報があり、それが、2014年の正月にTBSで放送されるドラマであるという話をスタッフに聞いたという人がいたこと、そのドラマがどうやら上記の「眠りの森」であるという噂がネットでまことしやかに囁かれているからです。

もちろん、現在の所、主人公の加賀恭一郎役である阿部寛さんと先輩刑事役の柄本明さん、そして、ダンサー役の人以外のキャストについて、公式発表は一切されていませんので、さとみちゃんが出演するというのは単なる噂以外の何ものでもありません、しかし、さとみちゃんが出るかもというだけで、どんな作品なのか興味がわき、原作を読んでみたというわけです。(これも、ある意味「サトミノミクス」?)

とは言っても小説を読む際、加賀恭一郎は阿部寛さん、浅岡未緒(本作のヒロイン)は、さとみちゃんをイメージして読んでいましたので、私の中では、完全に浅岡未緒=石原さとみとして定着してしまっています。(^_^;

以下は、その辺の妄想全開の感想になっていますのでご了承ください。(^_^;

なお、推理小説ということで、犯人等の重要な部分についての直接的なネタバレはしないように書くつもりですが、ストーリーについてある程度は書いていますので、一切知りたくないという方は、ご注意ください。

あらすじ

有名な高柳バレエ団で殺人事件が起こり、そこに捜査に来た警視庁の刑事、加賀恭一郎は、ダンサーの浅岡未緒と出会う。

殺されたのは身元不明の男性であり、殺したのはバレエ団の女性ダンサーである斉藤葉瑠子であった。彼女は男が突然襲ってきたので咄嗟に花瓶で殴ってしまったと正当防衛を主張する。しかし、警察は男の身元と動機が不明のままでは、葉瑠子の供述を全て信用することはできないということで捜査を続けていた。

程無く男の身元が判明する。男の名は風間利之。風間は画家志望のフリーターで、高柳バレエ団に忍び込んだ日の二日後、絵の勉強のためにニューヨークに行く予定だったことがわかった。バレエ団に風間が忍び込んだ目的を調査するため、捜査はニューヨークに及ぶが、風間と高柳バレエ団の接点は浮かび上がらなかった。

そんな中、第二の事件が起こり、今度はバレエ団の演出家の梶田康成が殺される。バレエの公演のリハーサル中であり、衆人環視の中、どうやって彼を殺すことができたのか、その謎を追究する中、加賀は未緒の体調の異変に気付く。

バレエのレッスン中に倒れ込んだ未緒を心配しながらも捜査に奔走する加賀であったが、ふとした切っ掛けで梶田の殺害に使われた凶器に思い至り、その結果、ある容疑者が浮かび上がる。同僚の刑事とともに容疑者の元に急ぐ加賀。しかし、その容疑者は.......。

一つの事件が幕を閉じたが、風間の死については謎のままだった。そんな加賀の元に、また、浅岡未緒が倒れたという一報が入り、心配した加賀は彼女のアパートを訪ねる。

その時の未緒との話が切っ掛けになり、加賀は事件の真相に気付く、高柳バレエ団の「眠りの森の美女」の公演が行われる中、加賀はあるダンサーの元を訪ね、自分が思い至った事件の真相を話して聞かせる。それは、”眠りの森”に囚われた、一人のダンサーの心を解放するためでもあった。

この作品の推理小説としての感想は、他の方が散々書いていらっしゃると思うので、私は加賀恭一郎と浅岡未緒のラブロマンスについて掘り下げてみたいと思います。

私は、これまで、加賀恭一郎が主人公の作品は読んだり、見たりしたことはなかったので、この作品での加賀恭一郎が私の中での彼のイメージとなっています。この作品での加賀は、鋭い洞察力と観察力を持つと同時に、人情味の有る優しい人物であるという印象を受けました。

そして、浅岡未緒に対して、ただ見守るだけで、積極的にアプローチするわけでは無いところは、不器用な性格らしいと感じました。この辺は、大学時代にプロポーズして振られた経験が後を引いているのかも知れませんが。

しかし、未緒が倒れそうになったときに真っ先に走り寄って抱きかかえたり、ダンサー仲間に未緒の体調不良が無理なダイエットのせいでは無いことを聞いて安堵するなど、周りの人間にとっては、加賀が未緒に気があることはバレバレで、結構、感情が表に出てしまうタイプでもあります。

加賀の未緒に対する恋心は、事件の起こる数ヶ月前、偶然高柳バレエ団の「白鳥の湖」を観たとき、”黒鳥”を踊っていた未緒に心を動かされたのが始まりです。

事件の捜査で、最初に高柳バレエ団を訪れたときから、親友の斉藤葉瑠子を心配する未緒に、「彼女の力になれれば、と思う。」と、公私混同な想いを抱いています。(^_^;

演出家の梶田が殺され、捜査に赴いた時には、「何故、梶田が突然亡くなったのか」と訊いてきた未緒に服の袖を掴まれ、未緒が行ってしまった後も、まだ掴まれたままのような気がして袖を触ったり、フロリナ姫の衣装の未緒を見て、「その姿に扮した彼女は、加賀の目には一際輝いて映った」と、あちこちに未緒に夢中になってしまっている描写があります。

未緒の方も、何かと気にかけて優しく接してくれる加賀に、「不思議な人だな、何か今までに味わったことの無い空気を送り込んでくる」と、少しずつ惹かれていきます。

未緒がダンスのレッスン中に倒れ込んだシーンの後で、ダンスマスターの妙子に

「あの刑事さん、突然飛び込んできたのよ、あなたが倒れそうになった時、そばにいた誰よりも早く駆け寄ったのよ。きっと、外からずっとあなたの踊りを見ていたんだわ」
※一部文章を変えています。

と言われ、

「へえ・・・・・・」
未緒は胸にかかっていた毛布を、そっと引き上げた。

という下りは、さとみちゃんが恥ずかしそうな、照れくさそうな表情で毛布を引き上げる場面が目に浮かびドラマでもこのシーンがあるといいなと思いました。(*´∀`)

加賀が未緒と斉藤葉瑠子の甥(小学生)の三人で、野球観戦をした時は、帰りの電車の中で車体が揺れて未緒がよろけると、加賀が素早く支えたり、未緒もためらいなく、彼の腕に捕まっていたりと、すっかり心を許している様子がうかがえます。

野球観戦後、二人きりでお茶して、未緒をマンションまで送っていったあと、自分のアパートに帰ってきた加賀が、うきうきと階段を上がるシーンは、普段は冷静沈着な加賀の意外な一面を覗かせるエピソードとして是非ドラマでも描いて欲しいですね。

梶田の葬儀会場の外で葬儀出席者を観察していた加賀が、未緒の様子がおかしな事に気付き、後を追っていくのですが、加賀に気付いた未緒の、「あたしを人のあまりいない所に連れてって、公演かどこか」というセリフは、加賀を信頼しきっていることがわかる言葉だと思います。だからその後の、「彼は彼女に手をさしのべた、彼女はその手に掴まってきた。」という文章がとてもロマンチックに感じました。

ちなみに、この後、公園で未緒と、病気のことや、映画のこと等を話すのですが、このシーンが、記事の冒頭で書いた引地台公園で撮影されたシーンではないかと推察されます。

未緒がレッスン中に倒れ、心配した加賀が、未緒のアパートを訪ねる場面で、ためらいなく部屋に招き入れた未緒に対し、加賀が、「あの・・・・・・今日はどうして俺を」と遠慮がちに訊いたのに対し未緒が、「あたしのために誰かが話をしてくれるのを聞いていたかったんです。あたしだけのために」と言うのですが、その後、未緒の病気の真相を知った加賀の、「君だけのために、俺は、いくらでも話しかけるだろう」というセリフは、思わず、あま━━━━o(*´д`*)o━━━━━━ぃ!!と叫んでしまいそうな名ゼリフですね。

何しろ加賀にとって未緒は、「非人間的なほど愛らしい」というくらいぞっこんですから、この二人の恋はの行方はどうなるのか、まだ小説を読んでいない方は、事件の真相とともにとても気になってきたでしょう?

さて、ここまで加賀と未緒の恋愛について書いてきましたが、加賀の感情について、良く理解できない箇所が何カ所かありました。例えば、未緒に「今度剣道を見せていただけます?」と聞かれたときの、「まるで一番デリケートな部分に触れられたような反応」をするところとか、バレエ一筋に生きる未緒達を「うらやましいな」と言う所だったりだとか。

どうもこの辺は、刑事になる前、先生時代に起きた何かが関係しているような印象を受けました。

あと、風間利之に関する捜査の過程で加賀が出会う版画家が、ニューヨークについて

「何かを目指す者にとっては、そのためのヒントが無限に散らばっているような街です。しかし、何も目指さない者にとっては、人は何かを目指さなくてはいけないというような圧迫を忘れさせてくれる街です。そういう人はそういう人なりに思う。ずっとここで暮らしていたいな、と」
※一部文章を変えています。

と語る箇所があり、さとみちゃんが、BS日テレの「私の愛したニューヨーク」のラストで同じようなことを言っていたことを思い出しました。

加賀と未緒の恋愛メインで書いてきた小説「眠りの森」の感想ですが、やはり、気になるのはドラマではラストのあのシーンがどうなるかですね。私としては○○は、きっとあると信じています。だって、あのシーンがないと「眠りの森」のお姫様を目覚めさせることは出来ないですもんね。( ̄ー ̄)b

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