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フジテレビ月9ドラマ「失恋ショコラティエ」第5話 感想

さとみちゃんの、「ケーキだけじゃ無くて、私の事も食べてくれる?」いただきました。スタッフさん、ご馳走様でした。(ー人ー)

今回は、爽太の周りでみんなが悩みや葛藤を抱えていて、特に紗絵子、えれな、薫子の3人のうち、最後に爽太が誰に手をさしのべるのかが気になる回でした。

冒頭の爽太(松本潤)と紗絵子(石原さとみ)が朝焼けを見た場所は、神奈川県城ヶ島の城ヶ島公園みたいですね。この時乗っていた爽太の車には、「choco la vie(ショコ・ラ・ヴィ)」の文字があり、どうやら社用車の様ですが、その車種がオースチン社の「ミニ カントリーマン」というマニアの方にとっては垂涎ものの車みたいです。車はまったく門外漢の私ですが、おしゃれで可愛い車だなと思いました。

海の方への向かうときの紗絵子のチョコチョコとしたペンギン走りは可愛かったですね。

朝日をバックにしての爽太と紗絵子の幻想的なキスシーンから、「ショコ・ラ・ヴィ」の厨房で爽太が一人で口を尖らせている場面への切り替わりが秀逸で、爆笑しました。

爽太は、前回のラストで語った、紗絵子のもたらす感情がインスピレーションとなって、新しい、朝日をイメージしたチョコを作ります。

そんな爽太にイライラを募らせる薫子(水川あさみ)が、ついつい乱暴な言動をしてしまい。あちこちたたいたり、当たり散らしているところは、イライラの原因が分かっていても怖かったです。(^_^;

一方、紗絵子の方は旦那の自分本位の言動に苛立っていました、そんな紗絵子に対する母親の「旦那の反対を押し切ってまで、価値のある仕事が、あんたにできんの、最高の旦那がご機嫌良くいられるように振る舞うのが、あんたの仕事でしょ」との言葉に、紗絵子は絶句してしまいます。

薫子にも自分には何もできない、爽太のそばにいて爽太の力になれる薫子が羨ましいと言っていた紗絵子にとって、この言葉は、心に突き刺さったのではないでしょうか。

そして、紗絵子が「ショコ・ラ・ヴィ」にチョコレートを買いに訪れます。まるでしばらく来ないかのように買いだめをする紗絵子ですが、爽太は相変わらずの妄想振りで、この記事の冒頭で言及した、誕生日を一緒に祝って欲しいという紗絵子の、「ケーキだけじゃ無くて、私の事も食べてくれる?」というセリフは、これをさとみちゃんに言わせるかと思わず吹き出してしまいました。さとみちゃんがこのセリフの前後にどんな表情をしていたのか是非メイキングを公開して欲しいですね。

このシーンについて後で録画を見返していて紗絵子が、「それじゃ」と言って一旦帰ろうとしたのに、また振り返って、「ショコ・ラ・ヴィ」の店内をその目に焼き付けるように見渡していたのが、「ショコ・ラ・ヴィ」に来ることを止めようと決意してのことだった事に遅ればせながら気付きました。

オンエア時には謎の表情だった、バースデーケーキを予約した後の爽太の顔をじっと見て切なそうに微笑む表情も、爽太の顔を記憶に留めようとしてたんですね。そう理解して改めて見ると紗絵子の心情が痛いほど伝わってきました。バースデーケーキを作って欲しいと言ったのは最後の思い出にしようと思っていたのかも知れませんね。

爽太もそんな紗絵子の振る舞いに気付いてはいましたが、まさか夫婦生活がうまくいっていないとはつゆ知らず、セフレのえれな(水原希子)とチュウの練習に励む始末。えれなの「私も練習しとかなきゃ、いつか倉科さんとそうなったときのために」は、やっぱり私には理解できないです。

爽太とえれなが体を重ねる映像の合間に、爽太の作ったパンデビスを食べる紗絵子の姿が映し出されるシーンはやるせない気持ちで一杯でした。

紗絵子のケーキのデザインのテーマに「切なさ」を選んだ爽太ですが、そう思っているのはあなただけでは無いですよと言ってあげたくなりました。。

一方、「吉岡さんの妻」という「仕事」のプロに徹することを決めた紗絵子。封印した「心が乱れるような事」って爽太と会うことですよね。

友人の、「それって普通の主婦の正しい姿だよ」の言葉に紗絵子は複雑な表情をします。紗絵子の母親の言葉といい、このドラマは、一生結婚しない女性を増やす気かと思うほど、結婚の身も蓋もない現実を突きつけてきますね。

このあと家で一人、「宝物」である爽太のチョコレートを口にして幸せな表情をする紗絵子が、急に真顔になって何かに気付いたような素振りをしたのは、オンエア時はフッと現実に戻ったと思ったのですが、見返すとやはりアレですかね、ということはやはり時系列から言って・・・・先の展開は大変なことになりそうな予感がします。

さて、爽太とえれなの電話を立ち聞きした薫子は、爽太とえれなが体の関係を持ったことを知ってしまいます。うすうすは感づいていた薫子ですが、実際に本人の口から語られるのを聞いてショックを受けてしまいます。

薫子のモノローグで、「ずっと前から見てたのに、見いだせなかった、脱皮して帰ってきてからコロっと見る目を変えた、私はその程度の女だから、今みたいな想いをするのは当然なんだ」は、実は紗絵子と状況が似てるなと思いました。紗絵子は現実に縛られている(結婚)にもかかわらず積極的で、薫子は現実には何にも縛られていないのに自分で縛りを掛けて消極的になっているところが対象的ですが。

さて、片思い相手の倉科との仕事のチャンスが来て張り切るえれなでしたが、緊張して失敗してしまい、そのことを倉科の前でマネージャーから叱責されます。落ち込んだえれなが「ショコ・ラ・ヴィ」を訪れ、そこで、薫子たちと真剣にチョコレートの話をする爽太の姿に居たたまれなくなり何も言わずに店を後にします。

なぜなにも言わずに帰ったのかと聞く爽太に、倉科の前で緊張して空回りして仕事がうまくいかなかったことを告白するえれな。爽太は自分も紗絵子さんの前では同じだよと慰めようとしますが、えれなは「爽太くんは、紗絵子さんに対する気持ちをちゃんと自分の力に変えてる、私とは違う」とさらに自分を責めます。

このセリフは、この物語の核となるテーマだと思いました。今は紗絵子への片思いの痛みを仕事に昇華させることで爽太は成長していますが、この恋の終わりが来たとき、紗絵子と結ばれるにしても結ばれないにしても、爽太はその力の源を失う事になるわけで、果たしてそれに変わる何かを爽太が見つけられているのかどうかが気になる所です。

店で食べたチョコレートが美味しかったというえれなに、あれは、朝日をイメージして作った、昔から凄く好きな場所があって、そこから見える朝日が最高なんだという爽太。それを聞いてえれなもその朝日が見たいと言う。

一緒に朝日を見に、妄想で紗絵子と行った場所に行く二人。映像は紗絵子との妄想の時とまったく同じシチュエーションで始まります、しかし、現実では寝坊して、起きたときにはすでに日は昇り真っ昼間になってしまっています。

冒頭の紗絵子との妄想シーンと、えれなとの現実の対比が興味深かったです。妄想の紗絵子とは朝日を見られて、その朝日をバックに情熱的なキスをかわしますが、えれなとは朝日は見られず、真昼の日差しの中で寄り添い合ってとりとめの無い会話をかわします。扱いは紗絵子の方が良い気がしますが、その実、紗絵子とは本当に心が通い合ったような描写が無く、えれなは現実に心の通い合う存在として、夢と現実の隔たりを見事に表現する手法だったように思います。

爽太からえれなと朝日を見に行ったことを聞かされたオリヴィエ(溝端淳平)の、「爽太とえれなは両思いだね、二人が羨ましい」という言葉に、爽太は、「みんな、笑っているけど、本当は泣いていたり、うまくいっているように見えても、本当はきしんでいたり、紗絵子さんも実はあまり幸せじゃ無くて、牢の中のお姫様を助け出す役を俺ができるかも知れなかったり」と考えるのですが、爽太ーっ!、お姫様が牢の中に閉じ込められてますよーって思わず叫びたくなりました。

この、牢に閉じ込められたお姫様のくだりで、「新春ドラマスペシャル“新参者”加賀恭一郎『眠りの森』」で、浅岡未緒(石原さとみ)が最後に踊っていた「青い鳥」(メーテルリンクじゃない方)のフロリナ姫とシャルマン王子の物語が頭に浮かびました。「青い鳥」の物語は、継母によって高い塔に閉じ込められたフロリナ姫のもとに、悪い妖精によって青い鳥に変えられたシャルマン王子が通うお話でした。最後は二人が結ばれる話ですが、このドラマではどうなるでしょうか。

一方、紗絵子は、酔って帰ってきた旦那と些細なことでケンカになり、怒った旦那に乱暴に腕を引っ張られ、倒れた拍子に顔面をテーブルの角にぶつけて大けがを負ってしまいます。

翌日、紗絵子の誕生日の日に、紗絵子が急用で来られなくなったと、旦那が「ショコ・ラ・ヴィ」にバースデーケーキを受け取りにくるのですが、爽太はまだ旦那とは会ったこと無かったことが、この時初めて分かりました。(^_^;

本当の事情を知らない爽太は、紗絵子が旦那と楽しそうにバースデーケーキを食べる場面を思い浮かべて落ち込みながらも、「奥様に、お誕生日おめでとうとお伝えください」と精一杯の強がりで言います。この時の、爽太の寂しさを湛えた笑顔が切なく、「紗絵子さん、お誕生日おめでとう」という爽太のモノローグをバックに、顔に包帯を巻いた痛々しい姿の紗絵子が映し出される所は、紗絵子が可哀相でしょうが無かったです。

旦那のDVについては、殴ったりしたわけでは無く、不可抗力だという見方もあるかも知れませんが、大きな声で威嚇するように怒鳴り散らすという行為からしてすでに暴力だと思うんです。紗絵子は怯えてましたしね。

さらに、追い打ちを掛けるように、大した傷じゃ無いとか、傷が残っても結婚してるんだから問題ないだろうとか言う旦那の言動には、人間性すら危ぶまれるなと思いました。

仮に紗絵子にケガを負わせたことに対し心から謝罪し、いたわる姿勢が垣間見えたなら、旦那に対する印象は大夫変わっていたと思うのですが、これでは最低夫のレッテルを貼られてもしょうが無いと思います。

失意の爽太が店のみんなと打ち上げに行こうとしたとき、えれなからの留守電が入っているのに気付きます。確認すると、えれなが片思いしていた倉科に告白し、どうやら振られたようだと分かります。

えれなの落ち込んだ声を聞き心配になった爽太は、薫子に打ち上げには行けないと伝えますが、事情を知らない薫子は、これまでの鬱屈した感情が爆発し、爽太やえれなを最低だと言って罵倒します。

えれなを悪く言われたことに怒った爽太は、薫子に「薫子さんは何でいっつも悪口ばっかなの、俺は、女の悪口を言う女はだいっ嫌いだよ」と冷たく言い放ちます。

女に限らず男でも人の悪口を言う人は、結局、人から信用されなくなるのではないでしょうか。自分は、愚痴と文句と人の悪口は言わないということを信条にして、これまで生きてきました。人からの信用を勝ち得ているかはわかりませんが、その方が実は無駄なストレスがたまらないのではないかと思っています。

さて、店に一人残った薫子にオリヴィエから電話があり、薫子は「爽太くんは私のことが嫌いみたい、私も自分の事が好きじゃ無いよ」と言って号泣します。

家で、バースデーケーキを前に一人寂しく俯く紗絵子、「ショコ・ラ・ヴィ」で一人涙をながす薫子、そんなことは知らない爽太は、えれなの元に向かって走り続けるのでした。

ということで第5話は、男女それぞれが切なく、言いようのない寂しさにさらされた回だった気がします。爽太が選ぶ未来は、誰を幸せにするのでしょうか、さとみちゃんの役柄に不満で、最初あまり楽しみじゃ無かった私ですが、すでにこのドラマにはまっていて、第6話が待ち遠しくて仕方が無くなっています。

「失恋ショコラティエ」第6話 感想

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