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フジテレビ月9ドラマ「失恋ショコラティエ」第7話 感想

「失恋ショコラティエ」第7話見ました。紗絵子(石原さとみ)に告白してキッパリ失恋すると決意した爽太(松本潤)でしたが、逆にその行動が、封印していた紗絵子の中の爽太に対する想いを呼び覚ましてしまったかのような印象を受けました。

紗絵子の旦那もちょっとは反省したのか、紗絵子のためにリクドーのチョコレートや、動物嫌いなのに猫を買ってあげようとするなど、少しは優しい面も見られたし、紗絵子も爽太のチョコレートが食べられるだけで満足していたのに、爽太の独りよがりな行動がすべての歯車を狂わせてしまいました。

ああ、でも、もともとちょっとした想いの食い違い、再会した二人にとっての時間軸のズレがもたらした悲しい恋のアンサンブルと考えれば、やっとプレリュード(前奏曲)が始まったと考えるのが正しいのでしょうか?

さて、それでは何時ものように、ドラマの内容を紹介しつつ、感想を述べたいと思います。いつにも増して長文ですがご容赦ください。

朝、ベッドで薫子(水川あさみ)が目覚めるシーンで、まどろみの中で薫子が見せる、普段の薫子からは想像できない心が弛緩しきった感じが新鮮で微笑ましかったです。

自分の状況に気付いて、やたらと下腹を見られたかどうかを気にする所は、いちばん其処が気になるんだと可笑しかったですが、人に見られることはないと油断して、スタイル維持に何の努力もしていなかったんだろうなと思うと悲しいですね。(^_^;

動揺しまくる薫子が薬指の結婚指輪を見て、「ああ、私、爽太くんと結婚したんだ、もう安心だ」とホッとするところは、薫子の幸福感に満ちた表情が、これまでの薫子の葛藤や苦悩からの解放感に充ち満ちていて、こちらまで幸せな気分が伝わってきました。

しかし、すべては薫子の夢の中の話で、自分の内に秘めたリビドーの発現に戸惑う薫子の、「願望じゃ無い、願望じゃ無い」と必死に唱える姿が、面白かったです。

対する爽太のおバカな夢が、爽太の密かな願望だったとしたら、六道(佐藤隆太)が、「爽太くんて、やっぱりそっちだったのー!」って喜びそうで、これは、まつりに振られたオリヴィエと禁断の恋に走るボーイズラブ的エンドもありかって、気持ち悪いのでこの辺にしときます。(^_^;

話の流れでサラッと、まつりと付き合うことになったことを報告するオリヴィエ。爽太はまつりとオリヴィエをはやし立てますが、そんな、お気楽なやり取りに薫子はイライラが募るばかり。

でも、イライラの本当の原因は、関谷(加藤シゲアキ)に送ったメールの返事が一向に返ってこないことでした。「せっかく自分からメール”してやったのに”」と上から目線で、愚痴を言う薫子ですが、「やっぱり何もしたくない」と、爽太に対しても頑ななのは、そうやって傷つくのが怖いからという、彼女の臆病な心に鎧を纏った結果なのかなと思いました。

その頃、ショコラ専門店「リクドー」では、関谷が薫子のメールを眺めては、思案する様子で佇んでいました。まあ、そりゃああんなゴシップ記事のようなメールを送られても返事に困りますよね。

その様子に声を掛けた六道が、またまた勘違いして、かってに悶えたあげく、ぼーっと立っている関谷を見て、「ノーパッション!」と頭を抱えるところは爆笑しました。

さらに、六道のモノローグが途中でバッサリ切られて、「ショコラ・ヴィ」の爽太の場面に切り変わる所も、六道の扱いのひどさに大笑いしました。最近、爽太の妄想がネガティブ思考で笑えない状況になってきているため、六道のコメディーシーンが楽しいアクセントになっているので、今後も貴重なギャグ要員(?)として活躍して欲しいですね。

さて、「ショコラ・ヴィ」は、バレンタイン商戦に入り、爽太を始め、薫子、オリヴィエ、まつりも大忙しでした。久しぶりに登場した感のある、爽太の父(竹中直人)も店を手伝っていましたが、普段は、どこにいるんだろう?

そして、爽太は、紗絵子への告白用のショコラ作りに夜中まで没頭します。殆ど寝ないで、ショコラを作り続ける爽太の、「ゴールが見えているから頑張れる」と言う言葉に、かなり回り道だったけれど、行き先の見えない片思いというレースのゴールがやっと見えてきた事への爽太の安堵感のようなものを感じました。

「紗絵子さんに告白して失恋するんだ」と考えながら眠りにつく爽太の場面から、朝の光の中、同時に勢いよくカーテンを開く紗絵子とえれなの後ろ姿が映し出されるシーンは、なぜかゾワっと鳥肌が立ちました。

この感覚がなんなのか良く分かりませんでしたが、録画を何度か見返して、カーテンを開ける前、紗絵子は白い光の中にいて、えれなは暗い光の中にいるのに気付きました。カーテンを開けるとまぶしい光が降り注いできて、二人とも晴れやかな表情をします。これは、立場的に光の紗絵子に対し、影のえれなであったものが、えれなが光に変わった、爽太にとっての光に立場が変わったという暗示なのかなと思いました。

一方紗絵子は、一人で家にいる寂しさを紛らわすため、旦那に猫を飼いたいとお願いしていました。でも旦那は動物が苦手だと言って、難色を示します。その代わり、バレンタイン用に「リクドー」のバレンタイン限定ボックスで釣ろうとしますが、何時もだったら飛びつくはずのチョコレートの話題なのに、紗絵子は雑誌に夢中で、「ありがとう、やったあ↓」と、おざなりなお礼は口にしたものの、あまり喜んでいない様子に旦那が戸惑います。

紗絵子は雑誌に掲載された爽太の店のショコラの特集に目を輝かせ、その世界に没入していました。その雑誌に載っていた、薫子のアイデアである赤いリボンを巻いたショコラの詰め合わせセットに、紗絵子は顔をほころばせます。

場面が変わり、「ショコラ・ヴィ」のカウンター越しに、厨房で仕事をする爽太の姿をチラチラと確認する紗絵子の姿がありました。その寂しそうな表情に薫子が気付きますが、紗絵子は何も言わないまま、名残り惜しそうに、「ショコラ・ヴィ」を後にします。

薫子からそのことを聞いた爽太は、バレンタインイブに告白すること、全力で紗絵子のショコラを作ると話します。

家に帰ったオリヴィエが、スマホを見ながら考え込むような顔をしているまつりの様子に気付き、わけを聞くと、まつりは、元彼に私物を取りに来るように言われたと話します。荷物を取りに行くだけだからと、元彼の所に行くと言うまつりに、オリヴィエも一緒に行くといいます。

オリヴィエからまつりの元彼と対決してくると聞かされた爽太は、オリヴィエがまつりの元彼を殴り、逆上した元彼に背中を刺されるという、ネガティブ思考全開の妄想をします。爽太の妄想のまつりの元彼はミニタリーオタクのようで、部屋にはモデルガンなどが飾ってありました。もしかすると、アニメオタクのオリヴィエとのオタク対決のつもりだったのかな?。

最後は、また警官が出てきて爽太が引きずられながら連行されるというギャグシーンですが、あまり、笑えませんでした。ほんとに、第1話、第2話のころのお気楽な爽太の妄想が恋しいなあ。

それにしても、爽太の妄想の中で、元彼とバトルするオリヴィエは格好よかったですね。溝端くんはアクションシーンも似合うなと思いました。あと、細かいことですが、オリヴィエが後ろから刺されるシーンは、映画「踊る大捜査線 THE MOVIE」のラストを思い出して、ちょっとしたオマージュかなとニヤリとしてしまいました。

さて、まつりの元彼の家にまつりとオリヴィエが訪れ、オリヴィエはまつりを外に残して、元彼の部屋に入ります。ドアが開いて、元彼が現れたときのまつりのハッとした表情と、彼を見て揺れ動く瞳に、好きという感情がめいっぱい溢れていて、元彼への断ちきれない想いの深さを感じるとともに、オリヴィエの懸念は、正解だったと思いました。

一人で来ていたら、まちがいなく元彼に誘われるまま体を重ねていた、そんな情熱的な恋を感じさせる表情でした。これを表現する有村さんの表現力も素晴らしいですね。

このまつりの元彼役が、 千葉雄大くんだったんですね。映画「幕末高校生」では、柄本時生くん、川口春奈さんと一緒に、さとみちゃんの生徒の高校生役ですが、24歳というのを何かで見て、本人をまったく知らなかったので、ちょっと無理があるのではと思っていたのですが、なるほど、確かに高校生といっても通じる少年のような顔立ちとやさしい雰囲気をまとった俳優さんだなと思いました。

場面が変わり、ペットショップで猫を見て、「可愛い!」と顔をほころばせて喜んでいる紗絵子とその傍らで「確かに可愛いな」と頷く旦那さんが映し出されます。

猫を飼って良いという旦那に、動物苦手だと言っていたのになんでと紗絵子が聞くと、旦那は「だって、お前、飼いたがってただろう」と優しい感じで答えます。頑なに自分の考えに固執するかと思えば、柔軟な姿勢を見せてみたり、それがうわべだけの優しさだったとしても女心を掴むのがうまいのかなと思いましたし、独身時代、この旦那も女の子には相当モテたんだろうなあと想像しました。本性を知っている紗絵子はただ訝しがるだけでしたが。

場面が戻り、部屋の中で元彼と二人っきりになったオリヴィエは、元彼がまつりとその友達と二股していたことを責めるのですが、この時、まつりが元彼ではなくオリヴィエを選んだ理由について、オリヴィエが、「僕の方が、あなたよりましだから」と言うのが切なかったですね。

まつりがまだ元彼を好きでいることを十分に感じていたオリヴィエは、その1点において、自分が元彼に勝てないと分かっていて、そのことに気がついていない元彼に怒りをぶつけているように見えました。自分はあなたよりましだから付き合ってもらえている、貴公子オリヴィエらしからぬ、悲観的なセリフだと思いませんか?

帰り道、まつりに「僕より、彼が好きでしょう?」と聞くオリヴィエ、「何でそんなこと言うの」と言うまつりに、「自信がない」と言います。

まつりは、そんなオリヴィエの手を引くと、自分からそっと唇を重ねます。ちょっと驚いた様な表情をするオリヴィエに見せた、まつりのはにかむ様な笑顔は可愛かったですね。

「ショコラ・ヴィ」に現れたオリヴィエが、超ハイテンションにぐるぐる回ったりしてはしゃぐ姿は、単純だなと思いつつ、男のバカな一面が見えて可笑しかったです。

2月12日になり、「いよいよ爽太の恋も終わるのか、そしたら紗絵子さんがこの店に来ることも無くなるんだね」と感慨深げに話すオリヴィエに、これからも紗絵子に「ショコラ・ヴィ」のチョコレートを食べてもらうためにネット販売を考えていると言う爽太。

「紗絵子さんが俺のこと好きにならないのは分かってるけど、うちのチョコレートの事は、本当に好きで、認めてくれてるんだって、それは信じてるからさ、だから、届け続けたいんだ」と清々しい顔で言う爽太に、チョコレートに込めた爽太の紗絵子への想いの深さが感じられるとともに、失恋したその先も考えて前向きなビジョンを語れるようになった姿に、爽太の精神的成長が感じられました。

連日、「ショコラ・ヴィ」に泊まり込んでチョコレート作りに没頭する爽太を心配する父親の、「お前の体を心配してくれる人はいないのか?」との問いかけに、爽太の脳裏に浮かんだのは、えれなとの「爽太くんが振られたら、私が爽太くんのお嫁さんになってあげてもいいよ」という、たわいないやり取りでした。爽太は、今のゴタゴタがすべて片が付いたら(えれなを)紹介すると約束します。

そして、えれなも、爽太の、「全ての決着が付いたら、えれなとの事もちゃんとする」という言葉を信じて、バレンタインが過ぎるのを待ち遠しく思いながら、モデルの仕事に励んでいました。

バレンタイン前日の朝、ついに、爽太が紗絵子に送る最後のチョコレートが完成します。

「俺がここまでやってこれたのは、全部紗絵子さんのおかげだ、紗絵子さんが俺の前に現れて、いくつもの傷と、いくつもの幸せをくれたからだ、こんなに沢山の物を貰っておいて俺はこれ以上、何をあなたに求めようとしていたんだろう、ごめんね、紗絵子さん、俺は本当に、強欲だったよ」という爽太の、紗絵子に対する素直で謙虚な思いは、えれながくれたものなんだなと思いました。

その頃、自宅で友人や実家に送るバレンタインのチョコレートを用意していた紗絵子は、チョコレートが足りないことに気付き、、どうしようかと思案するように「ショコラ・ヴィ」の紙袋を見つめます。

この時の紗絵子の、「ショコラ・ヴィ」に行く事を躊躇うような表情は、爽太への思いを封印し、できるだけ会わないことを決意した気持ちと、チョコレートは他のお店で買いたくないという気持ちの葛藤が現れたのかなと感じました。

バレンタインイブ、「ショコラ・ヴィ」はチョコレートを買い求めるお客さんで混雑していました。チョコレートの材料が足りなくなり、爽太は薫子に買ってきてくれるようにお願いします。

厨房で、紗絵子に告白するのに落ち着いているとオリヴィエに言われ、「今日は、自分から先手を打つから」と余裕綽々で答える爽太。その時、店のカウンターの方を見ていたオリヴィエが、「紗絵子さんだ」と呟きます。

半信半疑で振り向いた爽太の目に、笑顔で手を振る紗絵子の姿が映り、爽太の脳裏に自分から離れていく7年前のバレンタインイブの紗絵子の姿がフラッシュバックして放心状態になります。

さらに、帰り際、振り返って悪戯っぽく微笑みながら店を後にする紗絵子に、これまでの紗絵子との思い出がフラッシュバックし、爽太の心臓の鼓動が早まっていきそれが頂点に達すると、我に返った爽太は、紗絵子に送るチョコレートを持って、店を飛び出します。

紗絵子を追いかけ、呼び止めた爽太に、振り返った紗絵子が笑顔で答えようとしたところで、さとみちゃんのサントリー「ふんわり鏡月ゆず」の「ちょっと間接キッスしてみ」のCMが流れ、あまりのタイミングの良さに、このCM進行表を作成したスタッフさんグッジョブと思いました。

住宅街にある小さな公園で、突然呼び止められ、不思議がる紗絵子に、「来てくれてありがとう」というのが精一杯の爽太。それに対し、お店の混雑の様子や買い忘れた友達のチョコレートを買いにきたことなど、普段通りの会話をしていた紗絵子ですが、爽太の思い詰めた様子と、その手に握られた紙袋に気付き、怪訝そうな顔をします。

爽太が、「紗絵子さんに渡そうと思って」とチョコレートの入った紙袋を渡すと、紗絵子が中の可愛らしい箱を見て、嬉しそうに「何かのサービス?」と聞き返します。

その様子に、紙袋の中身が紗絵子のために用意したバレンタインのチョコレートであることを告げる爽太。紗絵子は、キョトンとして次の言葉を待ちます。

「あれから7年経っちゃった、紗絵子さんにバレンタインに振られてから」と話し出す爽太、紗絵子は息を潜めるように爽太の顔をじっと見つめて次の言葉を待っています。

爽太は、「パリに行って修行して一流のショコラティエになろうとして、正直頭のどこかで、こうやって一生懸命スキルを磨いていれば、そのうち、紗絵子さんの事忘れてしまうんだろうなって思ってた。思ってたんだけど、実際は、全然そんなことなかった、むしろドンドン時間が上に重なっていく分、気持ちはずっとずっと深い所に定着していくんだ、雪が積もって行くみたいに、最初に降った雪は溶けないんだよずっと、だから、そのままの気持ちで 日本に帰ってきて今もこうやって、俺、紗絵子さんに喜んで欲しくてショコラティエになった。紗絵子さんが、チョコレートが好きだからショコラティエになりたいと思ったし、今もこうして、ショコラティエをやっている。紗絵子さんがカレーが好きだったら俺きっとカレー屋になってたよ」と訥々とこれまで言えなかった想いを打ち明けていきます。

そんな爽太の言葉に、紗絵子は、俯いて、こみ上げてくる想いをこらえるように、「カレーも好きだよ」と呟きます。

「そっか、じゃあ、カレー屋でも良かったね。」とおどけてみせる爽太でしたが、紗絵子の悲しそうな様子に、また真剣な表情に戻り語り始めます。

「俺ね、バカみたいだけど、ずっと紗絵子さんの事が好きなんだ、今でもずっと」そう告白する爽太の言葉に、ハッとしたように目を大きく見開いて爽太の顔じっと見つめる紗絵子。

「どんだけ時間が経っても、紗絵子さんだけは、俺の中で特別なんだ、俺、紗絵子さんが買ってくれた物、ちゃんとメモって、紗絵子さんの好みの変化とか、ずっと見てたんだよ、それで、次に何作ったら紗絵子さんが喜んでくれるのか、そればっか考えてた、そればっか。俺が紗絵子さんにできる事って、それくらいしかなかったからさ」と語る爽太に、紗絵子は、想いが溢れそうに成りますが、何か告げようと言葉を発しようとしたその時、爽太の「でも、もう止めるね」いう言葉を聞いて、表情が凍り付き言葉を飲み込みます。

「けじめ付けなきゃいけないよね、俺は、紗絵子さんに喜んで欲しくてショコラティエになったし、これから先、何があっても、ショコラティエでいるよ。それは、俺が紗絵子さんを好きになった証で、これから先、誰かを好きになっても 絶対残るものなんだ、だからもう先に進んでいいんだってやっと思えるようになったんだ、紗絵子さんはもうとっくに先に進んでて俺のことなんか関係なく幸せな人生歩んでるのにね」そう語る爽太に、紗絵子は嫌々するように首を振ると、「関係なくないよ、爽太くんのチョコレートが、今、私を本当に幸せにしてくれてるんだよ、だから爽太くんのチョコレート買いに行くんだよ。」と震える声で訴えます。

ドラマでは、紗絵子の想いは描かれてませんが、きっと心の中で、辛いことや悲しいことがあったときに口にした、爽太のチョコレートがくれた幸福感と充足感は、爽太の自分への想いが詰まっていたからなんだと分かり、嬉しい気持ちで一杯だったのに、「もう、止める」と言われ、それが、喪失感と絶望感に変わったのだと思いました。

さて、紗絵子の言葉に爽太は素直に「よかった」と話し、「そう言ってもらえて、よかったよ。ありがとね。十分報われたし、思い残すことないよ、ありがとう、俺、紗絵子さんのこと好きになって本当によかった。俺、これからはちゃんとまっとうに自分の人生をやっていくからさ、紗絵子さんも幸せでいてね、ずっと元気でいてね。」と、紗絵子へのありったけの感謝の気持ちを伝えます。

爽太が話すのをただ、俯いて聞いていた紗絵子が、再び顔を上げると、その頬を一筋の涙が伝い落ちます。

爽太は、「何の涙!?」と、突然の事に動揺し、「チョコレートの事は心配しないで」と見当違いの言葉で、その場を繕おうとしますが、紗絵子は無言で、ただ何かを訴えかけるように爽太を見つめるだけ。

その表情に、爽太は、「あれ?、何だ?、これ、これって、手応え、いやまさか、そんな都合良く考えんなよ、えっ?でも何、この感じ」としばし自問自答した後、引き寄せられるように紗絵子に近づき、「いつか、時期が来るって信じてた、手応えをふいに感じるときが来るって、でも、それは、俺の夢や妄想に過ぎないって、現実に成りはしないって、ずっと、でも・・・」と自分の直感を打ち消そうと努力しますが、その壁はたやすく破られ、遂に

「現実にしていいの?」

と、紗絵子の唇に自分の唇を重ねてしまいます。

その様子を、遠くから眺めていた薫子は、悲しみと怒りに拳を握りしめて佇むのでした。

ラスト12分に関する感想は、冒頭で書いたとおりですが、「失恋ショコラティエ」第7話は、別々に奏でられていた爽太の想いと紗絵子の想いが重なり、重奏曲となって奏でるメロディーは、悲しく切ない恋のプレリュードへと姿を変え、大きなうねりとなって、周囲を巻き込みながら進行していく、そんな予感がする回でした。

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