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フジテレビ月9ドラマ「失恋ショコラティエ」第8話 感想

「失恋ショコラティエ」第8話、凄く良かったですね。(*´∀`)

ストーリーは急展開で、爽太(松本潤)の店「ショコラ・ヴィ」の2階に紗絵子(石原さとみ)が居候する事になり、二人でイチャイチャして、薫子(水川あさみ)はイライラ、まつり(有村かすみ)は兄の不倫をニヤニヤしながら眺めているというアットホームな回でした。(違う!)

今回の見所はなんと言っても、爽太と紗絵子の禁断のラブシーン!、特にさとみちゃんの体当たりの演技が素晴らしかった。あまりの興奮に速報として感想を書いたくらい、本当に紗絵子の艶めかしい肢体や、上気した頬、二の腕や脚にまとわりつく水滴の官能美に、爽太だけでなく、私はもちろんのこと、視聴者の男性の扁桃体と視床下部が活性化し、テストステロンが放出される様が想像できました。(つまりドキドキして興奮したってこと)

でも、相手が松本くんだと少しもいやらしさがなくて、二人の逢瀬は文学的で美しいとすら感じました。

では、何時ものようにストーリーを順を追って書いていきながら、感想を述べたいと思います。

物語は、紗絵子の突然の涙に、”手応え”を感じた爽太が、ついキスをしてしまい、逃げるように走り去る紗絵子を呆然と見送るという場面から始まりました。

爽太は、あれは俺のいつもの白昼夢だ、本当は、紗絵子に告白するも丁重にお断りされ、「お前のチョコにしか用はねーんだよ!、勘違いすんなバーカ、バーカ、バーカ」と心の中で罵倒されて(ドMだから)終わりだったんじゃねと自問しますが、確かに現実であったと思い直し、さらに悶々とします。

紗絵子の涙の意味をいくら考えても結論は出ず、とりあえず、状況を整理しようとする爽太の仮説が、紗絵子に対する不信感に満ちていて、いままで散々持ち上げては落とされていたからねと、爽太に同情したくなりました。

爽太が思い悩んだあげく、床に転がってジタバタしている所を、帰宅したまつりとオリヴィエが唖然として見ているところは可笑しかったですね。

家に戻って爽太に貰ったチョコレートの箱を開けた紗絵子が、「私の好きなものばっかり」と呟き、こんなにも自分を思ってくれていたんだと分かって、困惑した様な表情で、お礼のメールを打ち始めますが、打ち終わる寸前で手を止め、削除してしまいます。

この時の紗絵子の手を止めさせたのは、このメールを送ってしまったら、爽太とは二度と会えなくなる、そんな想いだったのかなと思いました。

「結婚前に爽太に告白されていれば何か変わっていたのかな、でも、そしたら、このチョコレートは生まれていなかったから、やっぱり無理だったかも」という紗絵子のメールの内容ですが、これって、紗絵子にとって極上のチョコレートを生み出す爽太のインスピレーションの源が自分への想いであることが分かって、爽太が自分とうまくいったら、爽太の中の創造性が失われて、これまでのように素晴らしいチョコレートを作り出すことができなくなると思っているってことですよね。

紗絵子は爽太が好きですが、爽太の生み出すチョコレートも好きで、また、爽太のショコラティエとしての才能も認めていて、仮に爽太が紗絵子のために、ショコラティエとしてのモチベーションをなくしてしまう様なことがあったら、それは、爽太と会えないことと同じくらい辛いことだと思っているのかもしれませんね。こう思うと、紗絵子にも相手のことを思って身を引くという気持ちがあるのかなと感じました。

さて、場面はレストランで食事する爽太とえれなに移り、紗絵子のことを相談する爽太に、「答えを貰おうと思ったら具体的な質問が必要」と言うえれなですが、人妻に「付き合ってもらえる?」は、問題ありなのでは?えれなもどこか「変」ですよね。

この時のえれなは、「きっとホワイトデーまでには返事くれると思うよ」と、爽太の振られる期限を勝手に決めつけて、自分の気持ちが前に出ちゃった感じで、これまでの応援者的立場のえれなとはちょっと違って見えました

別の日、紗絵子が家に帰ると、旦那が、爽太から紗絵子が貰ったチョコレートを食べていて、怒った紗絵子が旦那とケンカになり、旦那は紗絵子の浮気を疑って執拗に問いただします。メールの内容もチェックしているなんて、やっぱり、旦那は紗絵子の浮気性の性格がわかっていて、警戒していたんですね。

でも、「爽太からの特別なチョコ」とつい口走ってしまったときは若干あせった感じでしたが、その後の、爽太との「デート」のスケジュールを見られたことに対する紗絵子の対処方法がふるっていて、旦那も紗絵子の言葉に惑わされて、爽太から別の男に疑いの目を向けるところなど、紗絵子は、これまでもこんな修羅場の数々をくぐり抜けてきたんだろうなと思いました。

そんな、紗絵子に「そうやってすぐカッカするから、前の奥さんともダメになったんでしょ」とプライドを刺激するような一言を言われてカッとなった旦那が、紗絵子を平手打ちし、紗絵子はその勢いでテーブルの角に腕をぶつけてしまいます。人間は図星を突かれると怒るもんなんです、気をつけましょう(^_^;

翌朝、妙な緊張感漂う中、ダイニングで食器を洗っていた紗絵子が旦那に私が悪かったとあやまり、旦那もホントだよと笑って答えますが、自分の事は棚に上げて一方的に紗絵子に責任があるかのように振る舞う夫に、紗絵子の苛立ちが募っていくつのが口元の引きつり具合で分かり、この後の行動につながるんだなと思いました。

一方、爽太は、「ショコラ・ヴィ」で、相変わらず悶々とした日々を過ごしていました。暇だといろいろ考えてしまうと、薫子やオリヴィエに愚痴をこぼし、早く「ギロチンの刃がおりてこないかな」と口では言っていても、ずっと紗絵子のリアクションを待っているっていうことは、かすかな望みを抱いているってことですよね。

そんな爽太に「やつれたね」と言うえれな。「体によくないから、紗絵子さんに電話して聞いちゃえば」は、一見爽太の体を心配しての言葉と思えますが、早く振られて私の方を向いて欲しいという願望も無意識に込められている気がしました。

「紗絵子さんとの事はもう終わっている」と言うのに、「けじめだから」と、あくまで紗絵子の返事に固執している爽太が、「俺的にはどうするか決めている」とえれなに期待を持たせることを言い、最後は、14日の夜に会う約束までしてしまうというのも、男として潔くないというか、とりあえず2番手キープに見えてしまって、嫌な感じがしました。

あ、ホワイトデーに向けて爽太が作っていた新作のチョコレートの方が、紗絵子に送ったチョコレートより彩りも鮮やかで美味しそうに見えたのは内緒です。(^_^;

爽太の、紗絵子に振られて始まる新しい人生では、えれなと一緒に笑っているんだ言うモノローグのシーンで、オーバーラップする紗絵子が、爽太のくれたチョコレートを口にして、その体の奥までしみ渡るような甘いフレーバーに恍惚とした表情を浮かべるというところでは、想いのすれ違いがもどかしい感じがしました。

家事をこなし、旦那の遅い帰りを待つという退屈で閉塞的な、紗絵子に取って苦行のような日々を爽太のチョコレートを口にして堪え忍ぶ、そんな数週間が流れていきます。でも、最後の一つを口にしたとき、恐らく紗絵子の中にどうしようもない虚無感、喪失感が襲ってきて、ついに紗絵子はある決断をします。

ホワイトデーの夜、爽太が店の外に出ると、紗絵子がそこに立っており、手には、旅行カバンが握られていました。

紗絵子のメークが爽太とのデートの際にしていたのと同じナチュラルメークで、儚さ、頼りなさを演出していたのかなと思いました。そして、最初から爽太を自分のものにすると決意した彼女の本気度が伝わってきました。

バレンタインイブの時と同じく、爽太の予想を裏切る展開にうろたえる爽太に「家を出てきた」と告げる紗絵子、驚いた爽太は泊まる所はと聞きますが、紗絵子はただ困った様な顔をするだけ。

この時の、紗絵子の店の2階をチラっと見る仕草は、店に泊まるという選択肢があることを爽太に気付かせるための紗絵子の仕掛けですね。重い荷物を持ち、寂しげに帰る後ろ姿は爽太を籠絡するのに十分でした。

案の定、爽太は紗絵子に店に泊まるように勧め、紗絵子に店の後片付けが終わるまで、近く喫茶店で待つように言います。それにしても、紗絵子は、爽太の店に泊まる場所があることをあらかじめ知っていたようですが、さすがにターゲットのリサーチはしっかりしていますね。

店の2階に戻り、急いで部屋の片付けをする爽太の慌て振りに、オリヴィエやまつり、薫子は不審の目を向けますが、変なのは何時ものこととあまり気にも留めないようです。

薫子が行ったスーパーに、えれなが来て、楽しそうにアイスやプリンを2つ、おつまみや酒を買っているのを見た薫子は、思わず爽太とと言いかけて思いとどまります。幸せそうに食器を2つ選ぶえれなに、この時は、えれなが勝ち組、薫子は負け組な感ありありなのですが、この後、二人とも落ち込む展開になるとは、当の本人達も予想できなかったでしょう。

紗絵子を喫茶店に迎えに行く際に爽太の妄想する,ベッドに横たわった紗絵子が誘うように手招きするシーンは、「アムロいきまーす!」と叫びたい衝動がこみ上げてきました。

紗絵子を部屋に案内したとき、彼女の言う「爽太くん救世主だよ、王子様だよ」に、人ごとながら照れくさいというか、気恥ずかしい思いがしたのは、この乙女チックなセリフに本気でうれしがる爽太に、私が想像以上に感情移入していたからでしょうか?

その後の爽太を見つめて何か言いたそうな、訴えるような目をする紗絵子に、「思わず過ちを犯しそうなこの雰囲気」と凄く冷静に客観的に自分を見ている爽太が、いつもの妄想だらけの爽太らしくないというか、逆にちゃんと理性的に判断する爽太を見直した自分がいました。

「武士は食わねど高楊枝」と脳天気に店を後にしようとした爽太でしたが、やっぱり、紗絵子のことが気になり、戻ろうかと逡巡しているところで、携帯を部屋に置き忘れてきたことに気付き、店に戻ります。

部屋に入ろうとした爽太の耳に、シャワー室から水音が聞こえてきて、焦った爽太が反対側の携帯を置き忘れた部屋のドアを開けると同時に、シャワー室の扉が開き、振り返った爽太の目に、バスタオル1枚に身を包んだだけの紗絵子の姿が飛び込んできます。

この時の紗絵子の表情が、訴えかけるような眼差しとナチュラルメークが相まって凄く可愛いかったですね。

紗絵子が唇に笑みを浮かべて、「携帯、こっちだよ」と言うところは、見ようによっては”貞子!?”なホラーシーンに見えなくもなかった演出ですが、爽太の驚きにシンクロして自分もドキっとしてしまいました。

「なんで紗絵子さんが携帯持ってるの?」、「なんでかな」のやり取りで見せた紗絵子の悪戯っぽい眼差しや誘うような表情も凄く可愛くて妖艶で、自分だったら辛抱たまらん!という場面ですが、それでも爽太は割と冷静に、紗絵子から携帯を取り返そうとします。爽太スゲー!

爽太が携帯を取り上げようと手を伸ばすと、紗絵子は誘うように携帯を持つ手を後方へ引きます。二人の距離が近づいて、爽太を見上げる紗絵子の目が、さらに妖しい光を帯びていくところは、紗絵子の並々ならぬ決心が見て取れました。また、この時のさとみちゃんの横顔が凄く美しいなと思いました。

爽太が携帯に手を伸ばし、紗絵子の携帯を持つ手と手が触れ合うと、紗絵子は爽太の方にゆっくりと近づいていきます。爽太は、理性の力を最大限に発揮して抗おうとしますが、体はまるで魔力に縛られたように硬直し、そのまま、その唇に紗絵子の唇が重なると、紗絵子は腕を爽太の首に絡ませ、さらに激しく唇を求めてきます。爽太の唇を奪う紗絵子の表情も、艶めかしくて良かったです。

そのまま、重なって倒れ込みむさぼるようにお互いを求め合う二人。爽太は7年間の想いをその身のうちからほとばしらせ、紗絵子は言いようのない喜びに体を震わせてその想いを受け止めると、二人はさらに激しく絡み合い・・・って、まるで官能小説のようになってしまうのでこの辺で。(^_^;

事の後の、「凄いね、爽太くん」という紗絵子の言葉に、一瞬ドキっとしたのは私だけではないでしょう。イヤ、そんなあられもないことを紗絵子が言うはずも無く、爽太はチョコレートのニオイがするのが凄いということでした。(^_^;

「あそこにいると、あたしは、物になった気がするんだ」と寂しそうに呟く紗絵子の、これまでの寂しさや閉塞感を思うと胸が痛むと同時に、その涙を優しくぬぐってあげる爽太の優しさが、紗絵子にとって単に寝泊まりするだけでない”居場所”をずっと与えてあげられるといいなと思いました。

翌朝、「ショコラ・ヴィ」に出勤した薫子が目にしたのは、朝食のフレンチトーストを爽太に、「あ~ん」してもらってはしゃいでいる紗絵子と、デレデレの爽太の姿でした。目が合って、固まる3人の姿に爆笑しました。

イライラして傘をドンドンと床にぶつけながら奥に引っ込む薫子と、あくまでブリッ子なはしゃぎっぷりで爽太に甘える紗絵子が、逆に女の静かな戦いのゴングを響かせている感じがして、紗絵子無敵だなと思ってしまいました。

しかし、「ショコラ・ヴィ」の2階の、二人が一夜をともにした部屋で、一人佇み、窓の光をじっと見つめる紗絵子の表情からは、爽太の「何を考えているのか分からない」という言葉の通り、紗絵子が今、本当に幸せを感じているかどうか、読み取ることはできませんでした。

爽太とオリヴィエがえれなのことを話す場面で、「セフレ」という言葉を爽太が頓着なく話す姿に、爽太にとって、えれなは、紗絵子に満たされることのない、心と体、両方を埋めてくれる存在ではあっても、紗絵子が現実に手の届く存在になった今では、爽太の心のどこにもえれなの居場所はないんだなと感じました。

二人の会話を立ち聞きしたまつりが、薫子に、「お兄ちゃんと紗絵子さんが、ついに結ばれちゃったみたい」と嫌悪感を示すどころか嬉々として話すところに、まつりの倫理観の欠如を垣間見た気がして、小動家の将来が心配になりました。(ノ∀`)アチャー

まつりから、「店に紗絵子が泊まっている」と聞いて、血相を変えて店に飛び込んできた爽太の父も、紗絵子に同情し味方になってしまう所は、やっぱり親子だなと笑ってしまいました。

このシーンでの紗絵子の、さりげなく腕のアザを見せ、同情を誘うしたたかさに舌を巻くとともに、爽太もそのアザに気付かないし、紗絵子も気付かれないようにしているのは何故なのかなと不思議に思いました。

この辺は、第1話の感想でも述べているのですが、紗絵子は爽太に家庭でのDVや自分の境遇について知られたくないようで(今回少し話していましたが)、ひたすら爽太には隠そうとしているように見受けられます。

それが、爽太には、いつも可愛い自分だけ見ていて貰いたいからなのか、心配を掛けたくないからなのか、はたまた常に人からうらやましがられていた存在だった自分が、そうでなくなってしまったことを認めるのは、紗絵子のプライドが許さないからなのか、現時点では良くわかりません。

薫子の、「紗絵子さんも爽太くんのこと本気で好きなわけですよね」という問いかけに、キョトンとして、「本気で好きってどういうことですか?」と禅問答のような返しをして、薫子をブレインストーム状態に陥らせる紗絵子の、「コンフュ魔法」は、効果絶大ですね。

「本気で好きってどういうことですか?」

紗絵子のこの質問は単純なようでいて、とても深いですね。きっと人それぞれに答えがあって正解はないのかもしれません。

私の思う「本気で好き」は、その人のことを何時も想っているってことかな、昔読んだアルベール・カミュの小説「ペスト」の一節にこんな言葉がありました、

「何びとも、最悪の不幸のなかにおいてさえ、真実に何びとかのことを考えるということなどはできないということである。なぜなら、真実に誰かの事を考えるとは、すなわち刻々に、何ものにも ─ 家事の心配にも蝿の飛んでいるのにも、食事にも、かゆさにも ─ 心を紛らされることなく、それを考えることだからである。」(新潮文庫「ペスト」P.287より)

誰かの事を想い続けるのは、とても困難で、だからそれができるってことは、「本気で好き」って事なんじゃないかなと思います。

さて、「爽太くん、気をつけないと、女は、気持ち悪い生き物だよ」という薫子さんのモノローグが、女性から見た女性の感想なのだとしたら、非常に怖いなと思いましたし、対する爽太を始め、男の単純でバカな振る舞いに、笑っていられるのは幸せだなと思いました。

来週は、爽太と紗絵子の幸せなイチャイチャがたっぷり見られそうで、私がなによりも見たかった光景なので、とても楽しみです。

フジテレビ月9ドラマ「失恋ショコラティエ」第9話 感想

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