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フジテレビ月9ドラマ「失恋ショコラティエ」第10話 感想

月9ドラマ「失恋ショコラティエ」第10話のネタバレ感想です。

ラストの紗絵子の妊娠発覚で、紗絵子が最終的には爽太の元を去り、旦那の元に帰ると決意している理由が分かりました。

紗絵子のお腹の中の子が、爽太との子供である可能性は無いと思います。というのは、第5話の感想で、「もしかしたら・・・」と書きましたが、紗絵子が、「ショコラ・ヴィ」のチョコレートを口にして幸せそうな表情をしていたのに、フッと現実に引き戻された様な表情をしたシーンがあって、あの時、紗絵子は自分の体の異変に気付いたのだと思うからです。

自分の妊娠を知った紗絵子は、爽太への想いを封印し普通の主婦としての幸せな家庭を築こうと決意していたと思うのですが、夫の自分勝手な言動や威圧的な態度、度重なる暴力に夫への信頼を失ってしまったこと、爽太の思いがけない告白に心を揺さぶられたことで、封印していた想いが吹き出してしまい、紗絵子を迷わせ感情の赴くままあのような行動に走らせてしまったのだと思いました。

妊娠したと分かっているのに、爽太に抱かれた紗絵子の心情を推測すると、2つの想いが有ったように思います。

一つは、最後の思い出に爽太と幸せな時を過ごしたかったという想い。既に妊娠しているのですから爽太の子供を身ごもる心配はないですし、自分の望んでいた結婚生活を一時だけでも現実のものにしたかったという感情です。(妊娠初期のSEXが流産につながるというのは根拠がないそうです。)

もう一つは、爽太の告白を聞き、爽太が自分をどれだけ好きでいてくれるかが分かって、爽太の想いに応えたかったということ。バレンタインデーのチョコレートのお返しというと艶めかしいですが。

たぶん、自分がいなくなったことで旦那が改心するとはまったく思って無くて、そんなことは二の次の様な気がします。(あの旦那にはむしろ逆効果ですし。案の定、激昂して連れ戻しにきましたから。)

正直、自分勝手な感情で本当に爽太を「巻き込んで」しまったわけですが、そのことで、紗絵子は連れ戻しに来た旦那に、「今は帰れない、何も変わらないから」と言ったと解釈しました。

紗絵子は、中途半端に爽太の思いを成就させたせいで、今帰ったら爽太はダメになる、自分を想い続けて抜け殻のようになってしまうと思い、だから、自分が帰る前に、爽太に自分を失っても男としてショコラティエとして前を向くようになって貰いたい、きっぱり紗絵子に見切りを付けて紗絵子を振るぐらいの気概を見せて欲しいと思っているのではないかと思いました。

さて、それでは、第10話のストーリーを追いつつ感想を述べていきますね。

爽太(松本潤)は、ベッドで隣に寝ている紗絵子(石原さとみ)の寝顔を見ながら、
彼女が自分のことをどう思っているのか、思い悩んでいました。

「なんでこの女、俺のベッドで寝てるんだ、俺のこと好きでも無いくせに」、過去の失恋の痛みが思い出され、また同じ痛みを感じる事への恐怖心から逃げるように猜疑心を打ち消そうと必死に紗絵子を信じようとするのですが、紗絵子から何の約束も言葉もないまま、何を「信じる」のか、それすらも分からなくなっていました。

場面が変わり、薫子(水川あさみ)が「ショコラ・ヴィ」へ出勤すると、紗絵子が店内の掃除をしています。

ショーケースを掃除している紗絵子が、「シュッシュッ」と言うのを聞いて、フレアフレグランスのCMを思い出してスタッフさん狙ったなとニヤリとしました。

まつりの「”恋多き”女の先輩って頼りになりますよね」という、薫子にケンカを売っているような無自覚の毒舌を思い出した薫子が、関谷(加藤シゲアキ)からのメールについて紗絵子に相談することを思いつきます。

関谷から貰った「くわしく」の4文字のメールを紗絵子に見せる薫子。紗絵子は名探偵のようにわずかな手がかりから、メールの相手の職業や性格等を言い当てて、薫子を驚かせます。

紗絵子のこの特技はすでにお金を取ってもいいレベル。(^_^;

その観察眼と洞察力は恋愛方面にしか働かないようだけど、特技を生かして恋愛カウンセラーとか始めるといいかも、その過程で事件に巻き込まれて相手の心理を解き明かしつつ事件を解決する探偵とか、スピンオフドラマとして恋愛カウンセラー探偵「紗絵子」の製作をお願いします、フジテレビさん!。

ちょっと、脱線してしまいましたが、ストーリーに戻ります。

薫子のマニュアル本頼みの恋愛テクニックを一蹴する紗絵子は流石です。

この時の紗絵子の、「詳しく話すね(ハート)、ゴハン行こ!、いつ空いてる?」の時の両手でハート型を作って小首をかしげる仕草のあまりの可愛さに魂が抜けました。(゚▽゚*)

「会いたくない人にも優しいんですね」という薫子に紗絵子の言った、「だって、この人がいつか会いたい人に変わるかも知れないし」という言葉は、2番手、3番手から1番に会いたい人に変わると言う意味では爽太の事とも取れなくは無いなと思いました。

「何にもせずに勝手に相手が好きになってくれれば楽、でも、普通そんなことはない、意識的にでも無意識的にでも人の気を引く努力をしている人が人に好かれる」は、薫子といっしょになるほどなと頷き、恋愛だけでなく、通常のコミュニケーションでも通じる考え方だなと感心しました。

そして、紗絵子に言われるままにうつろな目で関谷にメールを打つ薫子が、マインドコントロールされた操り人形みたいで、「メンタリスト」紗絵子恐るべし!と思いました。

一方、爽太の元には、パリで修行したショコラ店「ボネール」のシェフからエアメールが届いていました。日本に行った時に会いたいという内容に、オリヴィエは、「ボネール」のチーフショコラティエとして爽太を迎えるつもりなんじゃないかと言います。

そのことを紗絵子に話し、喜ぶ紗絵子に一緒にパリに行こうという爽太。紗絵子は嬉しそうにうなずき、二人は抱き合って・・・。と、いままでの爽太なら、パリで一緒に暮らすところまで妄想するところですが、今の爽太には、紗絵子の返事すら想像できなくなっていました。

それでも、爽太は、「これで紗絵子さんとの未来を切り開くことができるかもしれない、なんとしても『ボネール』のシェフショコラティエになって、紗絵子さんといっしょにパリに行くんだ」と決意します。

ある日、お洒落な今風の居酒屋に紗絵子に後押しされて関谷と会う薫子の姿がありました。悪口やネガティブ発言ばっかりにならないよう気をつけてという紗絵子のアドバイスを思い出しつつ何とか盛り上げようとするのですが、淡泊な関谷に会話をつなぐのが精一杯でした。そんな薫子の脳裏で、アドバイスをする紗絵子が可愛かったです。

薫子が脳内紗絵子の助言に従って、「関谷くんも優秀なクリエーターじゃないですかー」と関谷を褒める時の口元の引きつり具合が、普段言い慣れてない感がひしひしと伝わってきて面白かったです。

この薫子の気持ちは凄くよく分かりました。というのも、私も社交辞令として心にも無いことをいうのが苦手で、お世辞と分かっていて他人のことを褒めたりできない性格なので。男としてはそれでも特に困ることはないのですが、女性は愛想がないとか言われて苦労しそうですよね。

しかし、紗絵子の渾身のアドバイスもむなしく、結局、何も進展しないままの二人でした。イヤ、むしろ関谷の方からみると「マタタビ」とか突然言い出したり、変な目配せしたりと挙動不審に映っただけで気味悪がられて敬遠されてもおかしくなさそう。のほほーんとした関谷はそれすら感じなかった様なので一応セーフですが。(^_^;

そんな、ある日、爽太の家でカニ鍋パーティーが開かれることに成り、薫子も他のみんなと伴に爽太の家に行くと、そこには何故か先に来て鍋の準備を手伝っている紗絵子がいて、「おかえりなさーい」と、まるで爽太の家に嫁いだかのように出迎えます。

爽太の父親もすっかり手なずけて、さえこちゃん、お父さんと、ますます嫁のような雰囲気に薫子は面白くありません。まつりとオリヴィエが二人だけで京都に行くことに、二人揃って店空けるなんてと反対しますが、紗絵子の私が店を手伝うという一言でこれも一件落着して、さらに不機嫌になり、イカの足をボリボリかじる様が可笑しかったです。

キッチンでテキパキと料理をする紗絵子の姿に爽太は、二人の間に子供もいて、そこに紗絵子が手料理を楽しそうに運んでくる様子を思い描こうとしますが、そのビジョンはかき消されてしまいます。

「ショコラ・ヴィ」への帰り道、爽太に紗絵子が言う、「爽太くんのおうちって温ったかくていいね、みんな仲良くてすんごく素敵」という言葉から、紗絵子の育った家庭がそうではなかったことが窺い知れました。きっと、紗絵子はそんな家庭の環境があって、人に愛されるように常に努力するようになったのだと思いました。

そんな、紗絵子の様子を見て、爽太は紗絵子を連れてパリに行くことをあらためて決意し、ボネールシェフの元を訪ねると、ボネールは、次に会うときに爽太の作る最高のショコラを食べさせてと言ってきます。爽太は、紗絵子との未来を開くため、ボネールに振る舞う最高のショコラ作りを模索しますが、二人でパリへ行った後の未来のビジョンが描けず、苦悩していました。

その頃、六道(佐藤隆太)と会っていたえれな(水原希子)は、六道から「もっと尖っていい、もしえれなを傷つける物があれば戦っていい」と励まされていました。その言葉に、何か決意したような表情を見せるえれな。

まつりとオリヴィエが京都に旅立った日、「ショコラ・ヴィ」には、1日だけ店員になった「ショコラ・ヴィ」の制服姿の紗絵子の姿がありました。

この、ショコラティエ姿(コックコートというらしい。協力している「制服道場」のホームページはこちら)の紗絵子が、また凄く可愛くて、敢えて言おう「このドラマ最高です!」と。さすがは数学に裏付けられた美しい骨格(くわしくはこちら)、顔の輪郭を完全に露わにしても可愛いのがさとみちゃんの強みでもありますね。

好きが高じて、「ショコラ・ヴィ」のチョコレートについては人並み以上の知識を持つ紗絵子はお客にとっても頼りになり、愛想のよさはまさに売り子にうってつけで、接客業はもしかしたら紗絵子の天性の職業かもしれないですね。紗絵子の言うとおり、このまま「ショコラ・ヴィ」に就職したら、看板娘として活躍できそうだなと思いました。

まつりとオリヴィエのことは省略。(^_^;

その夜、自分の部屋でくつろぐ薫子のところに紗絵子から電話がかかってきて、店が停電になり、冷蔵庫のことが心配だと相談します。爽太は、軽井沢のホテルで待つボネールの元に出かけていて不在で,紗絵子は一人で「ショコラ・ヴィ」に残っていました。

急いで「ショコラ・ヴィ」に駆けつける薫子。二人は協力してチョコレートが溶けたり、傷まないよう、氷や保冷剤で対策をしていきます。

一通り対応が終わった後、蝋燭の明かりの中、二人は停電が解消されるのを待っている間、関谷のことについて話したりしていました。暗闇の中で、紗絵子に何故か本音を話してしまう薫子。紗絵子にはそうさせる何かがあるのでしょうか?

このときの毛布にくるまった紗絵子の蝋燭の炎に照らされた表情と、フウフウと蝋燭の炎をもてあそぶように吹くところや、関谷とのことを薫子に訪ねるときの好奇心が満ちた子供の様な笑顔が可愛いかったです。

停電が解消し、店の明かりが点灯すると、顔を見合わせてホッとする二人。氷や保冷剤を片付けようとしたその時、店内にドアをたたく、「ドン!ドン!ドン!」という不気味な音が響き渡ります。

ホラーの苦手なへたれな自分は、この突然の、「ドン!ドン!ドン!」という音に、一瞬ビクっとなりました。さらに、店の入り口に状況を確認しにいった薫子の肩越しに、紗絵子の旦那、吉岡の顔が映し出されたときには、背筋に悪寒が走り、怖いと思いました。

なお、速報で心臓止まるほどびっくりしたとか、貞子3Dを越えたとか書きましたが、まあ、さすがにそこまででは無く、面白くしようと思って誇張して書きました、ごめんなさい。

でも、モンスターや幽霊より人が一番怖いと思っているのは本当です。対人恐怖症ということではなく、モンスターや幽霊は空想の産物で、実際に物理的に人にダメージを与えられるのは人だけだからだと思っているからです。

それにしても、演出家が狙ったのか、「ドン!ドン!ドン!」という音は、まさにゲーム「バイオハザード」で、ゾンビが家に入ろうとしているときのような、そんな音で、キョトンとする薫子と怖がる紗絵子の表情の違いが、二人の性格を如実に現しているような気がしました。

薫子は音の原因を冷静に見極めようとし、紗絵子は音の正体よりもその響きが醸し出す危険性を本能的に感じて身構えます。(紗絵子もまさか旦那が来ているとまでは思い至らなかったでしょうから。)

でも、たぶんいざという時に生き残るのは紗絵子のような、本能のままに身を守ろうとする人間なんだろうなと思います。薫子の様な性格の人は(私もですが)、冷静に考えている間に煙に巻かれて死んでしまうみたいな。

さて、ストーリーに戻ります、自分の所のライターが、「ショコラ・ヴィ」で紗絵子を見かけたと聞いて、連れ戻しに来た吉岡は、鬼の形相で薫子に紗絵子を出すように迫ります。

薫子が躊躇していると、奥から紗絵子が出てきて、それを見た旦那が、無理矢理に連れ帰ろうとしますが、紗絵子は、「今、帰っても何も変わらない、あなたは私の話を何も聞いてくれない、だから家を出たんだ」と訴え、イヤイヤと必死に抵抗します。

そんな紗絵子の言葉を、「うるさい!」と一喝し、まったく耳を貸さずに強引に連れ去ろうとする吉岡。

その時、薫子が割って入り、「きみには関係ないだろ」という吉岡に対し、「関係なくない、私は、紗絵子さんの友達です」と言います。警察を呼ぶと言われ、しぶしぶ紗絵子の手を離した吉岡は、帰っていきます。

紗絵子の言動をあんなに嫌悪していた薫子が「友達」と呼んだことについては、その場を取り繕うためではなく、本心からだと思います。

まったく正反対の価値観を持つ二人で、以前の薫子は紗絵子の女としてのふしだらな振る舞いに嫌悪感をおぼえて見下していたものの、身近にいるようになって、女として常に自分を磨き努力する点については認めるようになっており、停電という緊急事態に一致協力して事に当たったことで、ついに紗絵子を対等な人間として認めた結果の言葉だったのかなと思いました。

それにしても、爽太父、まつり、薫子と、つくづく紗絵子は周りにいる人たちを無意識に自分の味方にしてしまう能力の持ち主だなと思いました。(某海賊漫画の主人公のように)

一方、爽太は軽井沢のホテルにいるボネールの元に行き、自分の作った最高のショコラを試食して貰っていました。

しかし、そのショコラに対するボネールの評価は、「残念だ」という一言で言い尽くされていたように、かつての爽太が持っていた情熱もビジョンも感じられないというものでした。

その言葉にショックを受け、フラフラと幽鬼のような足取りで「ショコラ・ヴィ」に帰り着いた爽太は、紗絵子の眠るベッドに入り、紗絵子の手に自分の手を重ねます。

「爽太くん、何かあった?」と心配そうに聞く紗絵子に、爽太は「ボネールと会って話をしただけ」と答え、紗絵子も、「どうしてた?」と聞く爽太に「停電があっただけ」と答えます。お互いが相手に心配を掛けまいとつく嘘に切なくなりました。

翌日、いつものように、薫子、まつり、オリヴィエ達といっしょに仕事をする爽太でしたが、紗絵子との未来を妄想することもできない、ショコラのインスピレーションもわいてこない今の状況に「どうして」と苦悩していました。

その頃、紗絵子は産婦人科の病院を後にし、自分の胎内に宿る新しい命を確かめるようにお腹に手を当てたものの、その表情には微笑はありませんでした。

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