ディア・シスター

俺の幸せは美咲とずっと一緒にいることだよ 木曜劇場「ディア・シスター」最終話 感想

木曜劇場「ディア・シスター」の最終話を視聴しました。

何か駆け足でギュッと詰め込んだ感じの最終回で、美咲(石原さとみ)は永人(岩田剛典)と宗一郎(田辺誠一)のどちらと歩む道を選ぶのか、病気を抱えた美咲は無事に出産できるのか、自分に自信がないといった葉月(松下奈緒)は陽平(平山浩行)のプロポーズにどう答えるのかなど1話で語り尽くせるのかと心配していましたが、そんな事は杞憂でした。全ての問題が解決し、ラストで一瞬、「えっ!」と思わせる所など、最後まで楽しめました。

それでは、いつものネタバレ感想を書いていきます。

美咲の永人への想い

葉月に永人からのプロポーズに返事はしたのか?、永人のことをどう思っているのか聞かれた美咲は、「色んな事が複雑すぎて自分でもどうしたらいいかわからない」と悩んでいることを打ち明けます。そんな美咲に葉月は、「結局は自分の気持ちに素直になることが一番大事なんじゃないかな」と言います。

大勢のマスコミの前でスケートボードのトリック技を披露する永人、そこに美咲から電話が掛かってきます。この時、美咲も永人も「仕事」と言っていたので、どうやら大会で優勝したことで永人のプロのスケートボーダーへの道が開けたみたいです。

美咲からの電話は、葉月と陽平の結婚式の引き出物を買いに行こうという誘いの電話でした。引き出物を結婚する本人たちでなく招待者が買いに行くって言うのも変な話ですが、これは、やっぱり後で発覚する計画のために葉月が頼んだんですかね。

一緒に買い物に行くことを約束した後にプロポーズの返事を聞こうとした永人ですが、それを察知した美咲は慌てて電話を切ってしまいます。

葉月にさんざん、「何で(陽平に)プロポーズの返事しないの」と促してきた美咲ですが、自分も同じような状況になるとは思わなかったでしょうね。

引き出物の買い出しの帰りにトレーラーハウスでプロポーズの返事を聞こうとした永人でしたが、そこに永人の父親が現れ、美咲が宗一郎の子供を身ごもっていること、永人が美咲と結婚しようとしていること知ると大反対します。

「そんなことしたらお前の人生台無しだぞ」って美咲のいる前で酷い言いぐさです。まあ、9年ほど前にも美咲がらみで息子の宗一郎が職を失っているわけですし、美咲を厄介者扱いする気持ちもわかります。

でも、この永人の父親の言葉で美咲は考えます。「なんで今までハチがどうなれば幸せかってこと考えなかったんだろう」と。そして、これまで永人に一方的に頼り切っていた自分の自己中心的な振る舞いに気付き後悔します。

ある日、美咲は陽平に頼んで永人のトレーラーハウスにクリスマスの飾り付けをし、クリスマスケーキを用意して永人を待っていました。その飾りを見て喜ぶ永人の横顔を見つめる美咲の表情は、その光景を目に焼き付けようとするような、切ない感情に溢れていました。

二人っきりのクリスマスパーティーの後、美咲は「私のことは忘れて自分の幸せちゃんと探して、私はもう大丈夫だから」と言って永人に別れを告げトレーラーハウスを後にします。

一番身近にいて、あんなにも自分の事を想ってくれていたのに気付けなかった自分、その後悔から永人の元を離れる決意をした美咲ですが、号泣しながら歩く美咲の姿に、本当は離れたくないそばにいたいという強い想いが感じられました。

葉月のアパートに帰宅後、永人からのクリスマスプレゼントだと言って葉月から渡された袋には、二人で行った店で美咲が手にとって眺めていた赤ちゃん用の靴下が入っていました。永人の自分への思い遣りの深さをあらためて感じた美咲は、永人の事を想い涙を流します。

永人から美咲との結婚を父親に反対されていることを聞いた葉月は、永人の父親の元に行き、土下座して二人の結婚を認めてくれるように頼みますが、父親は黙ってその場を去ってしまいます。

クリスマスの飾りを見つめながら寂しそうな表情をする永人と、クリスマスプレゼントの靴下を見つめながら悲しそうな表情をする美咲がオーバーラップするシーンでは、会えないでいる二人のお互いへの募る思いが深く感じられて切なくなりました。

永人と美咲の結婚に反対する父親に対し、宗一郎は父親の後妻の聡子が文句も言わずに他人の子供(宗一郎と永人)を育ててくれたことを持ち出し、「自分が聡子さんにして貰ったことを永人もしようとしているのになぜ反対するのか」と父親を説得します。

正直、宗一郎の存在意義が殆ど無いと感じていたところでしたが、最後の最後で永人と美咲の為に一肌脱いで男を見せてくれたなと感じました。

葉月の計画

葉月の結婚式の日、式場の控え室で葉月の作ったウェディングドレスに可愛いとはしゃぐ美咲。葉月が何も準備していないことを怪訝に思って訪ねる美咲に葉月は、ドレスの名前が「美咲」であること、実は葉月達の結婚式ではなく、永人と美咲の結婚式として準備していたことを告げます。

病室での永人の美咲へのプロポーズを偶然聞いてしまった葉月は、陽平に頼んで自分の結婚式と偽り、美咲と永人の結婚式を計画していました。「APPLESEED」で陽平にお願いしていたのはやはりこのことだったんですね。

でも、美咲が永人と結婚したいと思っているかどうかを確かめる前に計画しちゃうなんて、葉月も相当気が早いというか、おっちょこちょいな性格だなと思いました。もっとも思い込みで相手の幸せを勝手に決めつけて行動しちゃうのは美咲も同じ事をやっていたので、似たもの姉妹と言うことも出来ます。(^_^;

状況が飲み込めずに混乱する美咲に葉月は、「好きな人と結婚するのが夢だって行ってたでしょ?」と美咲の「死ぬまでにしたい10のこと」を叶えるため、陽平やみんなに協力して貰ったことを打ち明けます。

永人が大好きだから、永人を自由にして上げたいと自分の気持ちを抑えつけるように涙を浮かべて話す美咲の前に、タキシード姿の永人が現れます。

結婚はできないという美咲に「俺の幸せは美咲とずっと一緒にいることだよ。俺の人生には美咲がいなきゃ意味が無いんだよ。俺が守る。美咲の事も子供の事も全部守る。」と言った時の永人の真剣な表情は凄く格好良かったです。

永人が「俺と結婚してください。」と言って、美咲が嬉しさに顔をほころばせながら大きな瞳に涙を一杯にためて「ハイ」と答えるシーンは凄く良かったです。特に「ハイ」と言う時の美咲の表情が破壊力抜群の可愛さでした。(´∀`*)

さて、葉月の計画通り美咲と永人が結婚式を挙げることになり、式場の教会には葉月と陽平の他に、七重(片平なぎさ)、渋川(渡辺裕之)、永人の父親と後妻、香織(堀内敬子)とその家族、葉月の親友の和子(森カンナ)とその彼氏の広瀬( 田中幸太朗)が参列していました。

美咲が永人にエンゲージリングをはめて貰ったときの陽平の( ゚∀゚)な表情が可笑しかったです。きっと自分が葉月の指にはめるときのことを想像していたのでしょうね。

美咲の出産と姉妹の絆

臨月が近づいたある日、美咲の病状が急変してしまい病院に運び込まれ、急遽、帝王切開で出産することになりました。

前回書いたように予告で美咲の手術に立ち会っているのが葉月だったので、この時はまだ美咲と永人が結婚していないと思っていたのですがそれは間違いでした。ただ、永人がいない理由が大阪に行っているからというのは拍子抜けでした。まあ、姉妹の絆を強調したかったのかなとそこは納得しました。

手術中に美咲が幼いときの思い出や再会してからの出来事を走馬燈のように思い出すのはやはり、美咲の死を予感させるものでしたが、結果は美咲も子供も無事で良かったです。

出産後美咲が病院のベッドで目を覚まし、かたわらにいた永人が「よく頑張ったな」と美咲を労るシーンで美咲が、「ハチ」と呼んでいて、ちょっと笑っちゃいました。そこは「あなた」とか言ってあげろよと、永人の前途は多難だなと思いました。

この後、葉月も陽平に逆プロポーズして、二人もめでたくゴールインとなりました。

幸せの形

そして数年後……。

香織の家族と公園でバーベキューをする葉月と陽平。その目線の先にはシャボン玉で遊ぶ小さな女の子の姿がありました。

葉月と陽平の話でその女の子が美咲の子供であること、その子供を二人が引き取って育てているかのようなやりとりに、一瞬、ああ、美咲は亡くなってしまったんだと愕然としました。

しかし、直ぐに「こら、花」という声と共に美咲と永人が駆け寄ってきて、「やられた!」と思いました。

スタッフさん最後までこういう仕掛けが好きですねえ。でも、騙されて心地よかったのは今回が初めてです。

どうやら葉月も妊娠中のようですし(美咲が走るなといっていた)、みな幸せそうな様子で終わって良かったです。このラストを見て、さとみちゃんが以前「はなまるマーケット」で言っていた、「幸せの形」という言葉が頭に浮かんできました。

美咲と永人の選択は他人には中々理解されないだろうけども、「幸せの形」は人それぞれ何ですよね。だれも「幸せの形」を強制することはできない、そんなことを考えました。

宗一郎、最後に男を見せる

さて、最後に永人と美咲の結婚を認めるように父親を説得してくれた宗一郎ですが、元妻の貴子とやり直すことを選択したようでした。

「あの子と子供を守るために、私と行くんでしょ?」という貴子の言葉に、ちょっと怖くなりましたが、そんな精神状態の貴子を支えられるのは確かに宗一郎しかいないのかも知れませんね。

宗一郎については、情けない言動や女々しい行動ばかりが目立ち、これまで全くいい所がなかったですが、最後に宗一郎なりの優しさを見せられたのが救いだったのかなと思いました。

美咲のイタズラの理由

昔、美咲が葉月に行った数々のイタズラの理由も判明しました。

小学校の卒業式の日、ツインテールの片方を切ったことについて→葉月が卒業生代表で緊張してて学校行きたくないって言ってたから、行かなくて済むようにして上げようと思ったから

ピアノの発表会でドレスにマジックで落書きしたのは→母親が買ってきたのが白のシンプルなドレスで、葉月がもっと可愛いのが着たいと泣いていたから、可愛くしてあげようと思ったから

大学入試のときに目覚ましを止めたのは→葉月の第一志望の大学が片道2時間(往復4時間)かかるところで自分(美咲)と遊ぶ時間がなくなってしまうと思ったから

思っていたのとはちょっと違いましたが、やはり姉の事を想っての行動だったんですね。ただ、その為の発想が短絡的であまり深く考えていないようなのが、葉月にとってはありがた迷惑極まりないなと思いました。

まとめ

木曜劇場「ディア・シスター」はこれで終了してしまいましたが、ドラマが始まったばかりの頃の美咲の自分勝手な妹のイメージだったり、七重のダメな母親のイメージだったりは、話数を経るに従って少しずつ変わっていき、気付いてみればこの家族はみんなそれぞれを思い遣り、相手の為を思って行動している素敵な家族だなと思いました。(間違っているときも多々あるけれど)そんな、親が子を思う気持ち、姉妹の絆の暖かさをあらためて感じられたドラマでした。

そして、またこのような温かいドラマにさとみちゃんが出演できればいいなと思いました。

おしまい。

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