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リッチマン、プアウーマン in ニューヨーク 感想2

リッチマン、プアウーマン in ニューヨークの感想の続きです。

翌朝、小鳥がさえずり、部屋に陽の光が差し込む中、ソファーから転げ落ちた様な格好で寝ている徹。その耳に、水の流れる音や包丁がまな板をたたく音など、これまで耳なじみの無い音が聞こえてきます。

徹が、ゆっくり体を起こし、寝ぼけまなこでキッチンの方をに目をやると、その目に可愛らしい感じの電子炊飯器が飛び込んできて、思わず飛び起きます。

その姿に気がついたエプロン姿の真琴が「おはよう、ウフフ、」、「早く目が覚めちゃったから買い物行ってきちゃったぁ。」と、昨日までと打って変わってのハイトーンボイスで話しかけます。(^_^;

そして、険しい表情をした徹が電子炊飯器を凝視して、「これは?」と言うと、真琴が、「海外生活者の必需品ですよ。一人に一炊飯器、常識ですぅ」と、さらに甘い声で答えます。

この真琴の声のトーンの変化と、新婚の新妻の様な振る舞いぶりに、やはり、昨夜、二人は結ばれたのかなあと思いました。って言うかあの状況で何もないとすると、徹はどこまで奥手なんだと。あくまで自分の想像の範疇で、ドラマ中に一切そんな描写はありませんでしたが、まあ、この二人に、そういう描写は似合わないと思うので、そこはいいんですけどね。

さて、キッチンで朝食を作る真琴を横目に、徹は、調理台の上に散乱する食材や水滴、フライパンの縁に付いた卵の白身を見て、目眩を覚え、隣の洗面台のある部屋に避難しますが、主婦の御用達みたいな収納グッズを見て、「何だ?この不必要に生活感を押し出してくる感じは。」と嘆息します。

このセリフ、予告編でも流れていましたが、自分の理解不能な事態に翻弄される徹の心情を絶妙に言い表していて面白かったです。また、この時、ドアのガラス越しに真琴が見えるのですが、ピョンピョン跳びはねながら朝食の準備をする姿が、可愛かったです。

ストーリーに戻りますが、徹が洗面台のある部屋を見回すと、ユニットバスには目隠しの布が掛けられ、極めつけに、タオル掛けに掛けられた、ピンク地に熊柄の女子が好きそうなかわいいタオルが目に入り愕然とします。(^_^;

徹は、毎回新しいタオルを棚から取り出して使うというこだわりがあり、タオル掛けにタオルが掛かっているのが許せません。

キッチンで真琴がルンルンしながら、「ベーコンも、焼いちゃおうかなあ」とフライパンを手に取り、シンクにドン!と、ちょっと乱暴に置くのを見て、遂にメーターを振り切った徹が、「ダメだ-!」と叫んで、真琴からフライパンを取り上げます。

何事と、キョトンとする真琴に、フライパンの製造方法や希少性について力説する徹。その勢いにたじたじの真琴が「わかりました」と言うと、冷蔵庫のドアに付けるタイマー?の位置や炊飯器のことを次々とまくし立て、最後に、タオル掛けにタオルを掛けっぱなしにするなと言います。

真琴が負けじと、「フライパンには本領を発揮させてあげるのに、このタオル掛けには仕事すらさせてあげないんですか?、えっ?、かわいそう。」と徹の変なこだわりを揶揄する様に言うと、ちょっとひるんだ徹は、「この柄だけは認めない」と、熊柄を全面否定。(^_^;

腹立ち紛れに、ユニットバスの目隠しも外してしまう徹、「のぞかないよ」って、そういう問題ではないですよね。

この二人の遠慮無いやりとりが、連ドラ第10話の冒頭での、ワンダーウォールでの場面や営業周りでの場面を彷彿とさせて、微笑ましいというか、あの徹と真琴だぁとうれしくなりました。

場面が変わり、コンビニで新聞とソーセージとお茶を買う一人の男、男は、かつてのネクストイノベーションの副社長、朝比奈恒介(井浦新)でした。よれよれの作業着に防寒着と往時の面影はすっかり無くなって「普通の人」になった朝比奈は、今は、ある会社のシステムエンジニアとして、サーバーの保守点検の仕事をしていました。

家への帰り道を新聞を読みながら歩く朝比奈の脳裏に、システムエンジニアの同僚の問いかけが、ふと思い浮かびます、「未来って、よくなりますかね」。

立ち止まり物思いにふけっていると、猫の鳴き声が聞こえてきて我に返り、いつものことなのか、ソーセージを猫に与える朝比奈。すると、後ろから、「私にもくれない」と女性の声が聞こえて、振り返ると妹の燿子(相武紗季)が立っています。

「帰ってくればいいじゃない」と、家に帰ってくるように促す燿子に、朝比奈は、「やってみると、こういう生活も楽しい」と、そそくさとアパートに入ってしまいます。

個人情報流出に荷担した朝比奈が、良くサーバーの管理会社に就職できたなとか(ドラマ中に映る雑誌の記事を見ると、会社の方は事情を知っているみたい。)、システム関係の仕事をする同僚が、あのネクストイノベーションの朝比奈恒介を知らないのとか、突っ込みどころ満載ですが、同僚の問いかけへの朝比奈の「さあな」という答えに、現状へのやるせなさも感じさせました。

一方、徹は、JIテックとの会議で、パーソナルファイルの路線変更について聞かされていました。JIテックは、最近業績が低迷しており、収益の確保や雇用の維持のため、パーソナルファイルを自社で開発する専用端末のP-BOXのみで運用するというのです。

自社の利益のみを追求し、利用者の利便性を考えないJIテックの社員達に「誰のために作ってるんですか」と憤る徹。真琴に気付かされた、「何を作るかじゃ無くて、誰が使うかなんだ」という理念は、今も徹の心の中に宿り、パーソナルファイルの設計思想の中心にありました。

小さな洋食屋に、製薬会社の社員達と昼食を食べに来た真琴、自分の店を持つためにバイトしているという朝比奈燿子と、なぜか店に押しかけている乃木(丸山智己)に再会します。燿子に気があるそぶりの乃木の様子を見て、徹と真琴の言い合いを見ている私たち視聴者のように、ニヤニヤが止まらない真琴でしたが、燿子に、「日向さんに、久しぶりに会えて、楽しいんじゃない」と言われて、ちょっと困惑ぎみに「なんかもう面倒くさいです。」と心情を吐露します。

さて、ネクストイノベーションに戻った徹は怒っていました。社員達が、JIテックのP-BOXに賛成すると言いだしたからです。パーソナルファイルにmy storage機能を実装したり、個人のパソコンに対応する様にセキュリティ面を強化するには、まだまだ時間が掛かるという社員達に、徹は、「セキュリティやmy storage機能はそんなに無理難題か、たとえそうだったとしても、実現させる方法をひねり出して、JITECを説得しようとする人間は一人も居ないのか」と問い詰めます。沈黙する社員たちに徹は、「僕は、そういう人間を一人だけ知っているぞ、朝比奈恒介という男だ」と言って、社員達を驚かせます。そして、「いいことを思いついた」と言って、会議室を出て走ってどこかに行ってしまいます。

アパートの前の階段に座り、新聞を広げる朝比奈恒介。その目に、「ネクストイノベーション 朝比奈恒介氏の復帰を発表」の文字が飛び込んできます。「どういうことだ」とつぶやく朝比奈の背後から、「見たとおりだよ」と徹が声を掛けると、やれやれと行った顔で、自分に内緒で発表を行ったことを非難する朝比奈。そんな朝比奈に、徹は、「また、二人でやらないか」と言いますが、朝比奈は、「俺はネクストイノベーションには戻れない」とかたくなに拒否します。自分達で現状を変える気の無い社員達に落胆していた徹は、朝比奈に「だったら、違う会社を始めればいい、お前と二人なら、僕はやりたいことができる」と訴えます。

そう言われて、うれしく思い、心が揺れ動いた様子の朝比奈でしたが、意を決したように立ち上がると「お前、もう、一人でやれよ、つまらないだろ、俺と二人で会社作ったって、同じ事の繰り返しだ。いいか?仕事のスピードもビジョンも違う人間が集まってくるのは、成熟した企業なら当たり前だ。ネクストイノベーションはそれ程でかくなったし、でかくなったからこそできることがあるんだよ、この先に。それともお前、見たことのない景色を見るのが怖いのか?、世界を変えてやるって本気で思ってたろ?、金も人も社会的地位も何も持っちゃいないのに。今のお前は、金も人も社会的地位も持っている。世界を変えられる場所にいるんだよ!、リアルに!、だったらやれ、楽な方に行かずに闘えよ」と諭します。

その言葉に徹は、ふっと笑って、「あーあ、また、朝比奈に言われてやるのか。分かった、お前が戻ってきたいと思えるような、闘い方をしてやるよ。逃げて楽してんのは、お前だろ?」と言って、左の拳を朝比奈の方に突き出します。かつて、ネクストイノベーションのウォールの前で、拳を合わせ合った時の様に。

ああ、これだよなと、リッチマン、プアウーマンというドラマを、私が好きなのは、徹と真琴の恋愛物語はもちろんだけれど、「見たことのない景色を見せてやる、世界を変えてやるって」いう、二人の男の物語でもあるわけで、この二人の描くビジョンにワクワクさせられるからなんですよね。

同じ頃、真琴は製薬会社の本社で、会社がアメリカのラングレンラボという企業に買収されるということを聞かされていました。帰国の理由もそれを伝える為と聞いて、「カーニバル休暇じゃなかったんだ」と肩を落とす真琴。

先輩の女性社員と、会社のラウンジで話す真琴、「33社目にして、やっと就職できた会社なんです。絶対にやめられません」と力説しますが、先輩の「アメリカ企業の社員になるなら日本に帰れなくなるかもしれないわね」という言葉に、「それは嫌です」と即答します。しかし、やめたらまた、あの、苦しい就職活動が待っているのかと思い、どうしようもない葛藤に、机に突っ伏して身もだえします。

翌日の朝、徹の部屋で、パーティションに区切られた一角から、マサイ族のようにジャンプを繰り返す真琴。どうやら、徹が帰っているかを確認している様子。「会社で作業している。」の一行きりの素っ気ないメールを見ながら、「結局帰ってこなかったな」と嘆息します。

この真琴スペースを予告で見たときは、着替えの為に作ってもらったのかと思ったのですが、今の二人なら、そんなことは気にしない気がしますし、たぶん、徹にとって目障りな、生活感溢れるグッズの数々ごと押し込められてしまったというのが、正解でしょうか。(^_^;

真琴も相変わらず寝袋で寝させられているようですし、あんまりな状況ですね。

そんな状況でも、甲斐甲斐しく床の掃除をしたりしている真琴のけなげさが切なく、玄関付近の狭い場所を掃除する真琴に対し、広いリビングを掃除する自動掃除ロボットのルンバが勝ち誇っているように見えたのは気のせいでしょうか。

やがて、徹夜明けの徹が帰ってきます。体調を心配する真琴に、大丈夫と答えて、洗面台の所に行き顔を洗いますが、あれほどこだわっていた棚の上のタオルを使わず、無意識にタオル掛けに掛かっているタオルで顔を拭いてしまいます。

それを見て、「ほら、やっぱり便利」とうれしそうな真琴に、「今、僕は、仕事の事を考えていて」と言い訳しますが、真琴のニヤニヤ顔にバツが悪くなって、マフラーを真琴に投げつけて、リビングに向かいます。

リビングのソファーに倒れ込み、これから寝るという徹に、真琴は、安岡とリサの結婚式に着ていく服がないから、徹も一緒に行って選んで欲しいと言います。徹は最初、面倒くさがって、そのまま寝ようとしますが、寂しそうな真琴の視線を感じて、薄目を開けると、それを見た真琴が、茶目っ気たっぷりの笑顔でウィンクしながら、行こ、とジェスチャーするのに心を動かされたようで、一緒に買い物に行く事になります。

この後の、洋服店での、真琴のファッションショーは、さとみちゃんファンへのサービスという意味合いが強いのかなと思いましたが、「東京ランウェイ」の時の不安げな表情でのランウェイと違い、うきうきとランウェイを行う姿に、仮に演技だとしたら、1万人の前でも堂々とランウェイできたのだろうかという疑問が頭に浮かびました。きっとさとみちゃんの事なので、その場合は完璧にモデルを演じていたと思うのですが。

さて、肝心の服選びで徹は、「どれもこれも七五三だ」と言って、なかなか納得しません。
真琴も疲れて「そこそこ似合ってればいいですよ」というのですが、何事にもこだわりの強い徹は、納得するまでとことん吟味しないと気が済みません。

ちょっとうんざり気味の真琴でしたが、寝てないのに、自分のために真剣に服を選んでくれる徹の様子を、何となくうれしく思いながら、渡された服を手に試着室に向かいます。

試着室のカーテンを開けて、長い髪を両手で束ねるように持ち上げ、鏡でシルエットを確認する真琴。徹は足を止め、しばらくみとれた様子で真琴をながめています。この髪を持ち上げる時の真琴が、すごく可愛らしくて、徹と一緒に見とれてしまいました。

また、このシーンで来ているピンクのつなぎの服は、さとみちゃんがスタイリストさんと一緒にデザインしたということを、LINEのメッセージでさとみちゃんが言っていました。前面は、可愛らしい感じですが、背中は、シースルーでセクシーな感じの結構大胆な服ですね。

さとみちゃんが、井浦新さんと一緒に受賞した、ベストフォーマリスト賞の時も、自分でデザインした服を着ていましたが、その時も、胸元がシースルーで、大胆に背中の開いたドレスを作っていて、さとみちゃんは、どうやら背中には結構自信があるようです。
ちなみに、このときは、コメントを求められた井浦さんが、しどろもどろになっていました。(^_^;

ちょこちょこ歩るきで、恥ずかしげな感じで目の前に来た真琴に、徹は、「完璧では無いが、悪くない、これにしろ」と言います。それを聞いた真琴が、「え、つなぎって、私っぽくなくないですか。あれ、ご自分の趣味で選んじゃってます」と、うれしそうに言うと、徹は、「何だ、人に選んでくれと言っておいて、これがいい、これにしろ」とぶっきらぼうに返します。その言葉に、真琴は、「これにする」と、満面の笑みで言うのでした。

その夜、徹の部屋で、彼の選んでくれた服に身を包み、うれしそうに微笑みながら、窓に映る自分の姿を確認する真琴。振り返るとソファーで徹が寝ていて、そっと近づいた真琴は、イタズラっぽく笑いながら、徹の鼻の頭をつんつんしたり、鼻をつまんだりしようとしたりします。

その時、携帯電話が鳴って、慌てて出ると、会社の先輩からでした。「どお、決めた」と聞く先輩に、「はい、私やっぱり日本に戻ります。そばにいたい人がいるんです。」と、仕事を辞め、徹のそばにいることを決心したことを伝え、徹の方を振り返るのでした。

リッチマン、プアウーマン in ニューヨーク 感想3に続く

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