デーンデーンデーン、デーン、ドンドン
デーンデーンデーン、デーン、ドンドン(以下、リピート)
いよいよ本日11月12日(日)21:00からテレビ朝日系列で映画「シン・ゴジラ」が地上波 初放送になります。
「シン・ゴジラ」は累計動員数約550万人の大ヒットとはいえ、この数字は日本の全人口の4%程度でしかなく今回初めて見るという人の方が圧倒的に多いと思います。(実際にはリピートした人も多かったしね)
そこで当然予想されるのが石原さとみさん演じるカヨコ・アン・パタースンに対する疑問の声です。あんな大統領特使本当にいるの?とか、英語、日本語混じりのしゃべり方がルー大柴みたいで変とか1年前にさんざん聞いたような感想がインターネットに溢れることが容易に想像できちゃいます。
そんな疑問にお応えすべく、庵野監督やスタッフさん達、そして石原さんが作り上げたカヨコ・アン・パタースンというキャラクターが決して虚構だけの存在ではなく、いかに現実を反映しているかについて様々な証言を通して検証することで、彼女の存在を補完していこうというのがこの記事の趣旨です。
カヨコ・アン・パタースンの経歴
まず、米国大統領特使のカヨコ・アン・パタースンがどういう人物なのかについて書いておきたいと思います。
カヨコは日本人の祖母を持つ日系三世です。カヨコの祖母は原爆の悲劇に苦しんだという描写があることからアメリカに来る前は広島か長崎、またはその周辺に住んでいたと考えられます。
カヨコの経歴については、劇中に赤坂さんと東官房長官が米国国務省の文書を確認しているシーンがあります。
これによるとカヨコは15歳でハーバード大学に入学し、経済学と政治学を学び学士号を取得。ハーバード大学を修了後、弁護士資格を取得という華麗なる経歴の持ち主であることがわかります。父親は民主党の上院議員。現在カヨコは米国国務省の国際機関?に所属しているようですが、これはどうやら実在しない組織のようです。
巨災対で牧教授の残したゴジラの構造レイヤーの解析表を出した際、「専門外でよくわからない」というセリフを言うので専門はなんなんだろうと思っていましたが、ロースクール卒で弁護士資格を持つことから法律が専門のようですね。
父親はカーン合意という架空のなんだか凄そうな政治的問題を解決した民主党の大物上院議員であることなどが劇中で語られています。
本人が優秀で能力も高く、親が政治家で相当の有力者というコネもある。大統領特使として申し分ない人物として設定されていることがわかります。
カヨコのキャラクターの変遷
映画『シン・ゴジラ』公式記録集「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」(以下「ジ・アート」)に掲載されているプロットを元にのちにカヨコとなっていくヒロインの変遷について紹介していきたいと思います。
一番最初の作品メモの時点で主要登場人物が3人というのは決まっていて、その中の一人をヒロインとすることが検討されていたようです。
初期プロットには、ヒロインは日本人で元外務省官僚だったことが書かれています。しかも主人公の元恋人という設定。
英語が好きな女性。シンプルでノイズが少ない。コミュに向いている。微妙さがなく的確な立が高い
「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」庵野G/プロット改訂版より
このころから、英語ができる優秀な女性、アグレッシブな性格などは決まっていた模様。主人公を「ガキ」と罵ったり、かなりアスカ的要素が強い気がします。それにしても庵野監督は上から目線の女性に罵倒される主人公が好きですね。(^_^;
また、このころはまだ主人公と父親との確執や元恋人のヒロインとの関係、義母への依存など、主人公をとりまく人間ドラマが随所にみられます。
2014年7月7日・9日版の修正プロットでは、ヒロインは環境省の官僚に変更されています。主人公の父親と一緒に日米の過去の違法な高レベル放射性廃棄物の海洋投棄と放射性廃棄物を餌とする生物の存在について調べていたためゴジラに詳しく、主人公に情報を提供するというカヨコと尾頭ヒロミの役割を合わせもったような人物でした。
主人公を励まし、時にはお尻をたたくというエヴァの葛城ミサトの様な役割も担っていてカヨコがアスカとミサトの要素を持っていると言われる原型となるキャラクターなのかなと思います。
最終プロット稿でやっと日系三世の米国大統領特使が登場します。しかし、この時点では主人公のワシントン留学時代の同級生でやはり元恋人という設定です。
主人公にアポをとるのも個人的な信頼関係からとなっており、人間ドラマ的な部分の名残りが感じられます。
カヨコと主人公が元恋人という設定がなくなったのは、G作品準備稿という最初に製本さたバージョンぐらいからのようです。カヨコの役割や台詞もほぼ劇場版と同じになっています。
カヨコが日系三世になったわけ
「ジ・アート」の庵野秀明監督へのインタビューで監督が大統領特使を日系人にした理由について次のように話しています。
外国人キャストをメインに置くのは現実的ではなく、コストパフォーマンスも悪く不必要に具体性に寄りすぎる。なので、あえて日系3世として登場させようと思いました。
「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」庵野秀明監督のインタビューより
やはり、コストの問題が大きかったようですね。カヨコの役割を無名の役者に任せる訳にもいかないでしょうから、ある程度有名なアメリカ人の俳優をキャスティングするとなると、数十億のギャラが必要になるそうです。それだけで、もう一本「シン・ゴジラ」の撮影ができてしまうのを考えると現実的でないのもうなずけます。
ただ、それだけではなく監督は特にカヨコをバランスを意識した人物と語っています。
ここもキャラクターとしての虚構と現実、それと描写の重さと華やかさのバランスでしょうか。米国の描写にリアリティを持たせるのは現実的に困難です。どこかイメージとしての曖昧さと劇映画としての確実さを具象化したバランスを一身に背負う人物なので、特に難しい存在でしたが、挑戦してみようと、作品の軸、核となる人物なので、キャストが確定した決定稿以降の台本は微妙にそのバランスを石原さんに合わせています。
「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」庵野秀明監督のインタビューより
よく言われているのは、カヨコは現実と虚構をつなぐ役割を持っている人物ということです。「シン・ゴジラ」の完成台本によると、この映画はAパート、Bパート、Cパートに分かれています。
Aパート:ゴジラ出現から蒲田への上陸、再度海へ戻るまで
Bパート:巨災対の発足からゴジラの熱焔放射線流放出まで
Cパート:ゴジラの謎の解明とヤシオリ作戦の決行、ラストまで
Aパートでは巨大不明生物(東日本大震災のような大規模な自然災害のメタファー)に対して日本の政治家や官僚がどのように行動するのかということをダメさ加減も含めて緻密に非常にリアリティーをもって描かれています。
Bパート以降になると若手政治家や官僚による特別チームが編成され、巨大不明生物の謎を解明していくという展開になり、生物駆除に対し自衛隊の防衛出動がされるなどフィクションの要素が強く描かれます。
このうち、Bパートの冒頭にカヨコは登場します。まさに現実から虚構に変わる瞬間に現れたカヨコは物語の転換の鍵を握る人物といえるでしょう。
また、カヨコがもたらしたゴジラに関する情報がなければ巨災対の面々もゴジラの元素変換細胞膜や極限環境微生物の解明はできなかったですし、何よりも、日本への3度目の原爆投下を阻止すべく日米両国による共同作戦の橋渡し役になるなどの重要な役割を担っています。
2度の原爆の投下、福島第1原発事故など何度も放射能による恐怖にさらされた日本という国。アメリカの核の傘に守られながら核兵器を忌避し、放射能を恐れるメンタリティを理解する人物として生粋のアメリカ人ではなく、日本人のDNAを持つ日系三世という役どころが必要だったということなのでしょう。
カヨコを石原さんはどう演じたのか
ウェブや雑誌などのインタビューを読んでいると、石原さんがいかにカヨコの役作りに苦労して取り組んだかがわかります。
上映当時、散々批判されていましたが、石原さんだって自分でいいんだろうかと悩みながら演じていたわけで「シン・ゴジラ」が日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞したおめでたい席のスピーチで、
「庵野監督から『カヨコが石原さんでよかった』と言っていただけて涙が出ました。『ゴジラ』に関わった2年間、胃が痛い毎日だったけれど、その日々がきょうで終わると思うと、こういう場で終わることができて救われました」
【日本アカデミー賞】『シン・ゴジラ』最優秀作品賞など最多7冠
https://www.oricon.co.jp/news/2086952/full/
という本音をぶちまけたほどのプレッシャーと戦いながら演じた難役だったのです。
石原さんは、「進撃の巨人」のハンジなど、これまでもその役柄の人物を徹底的に研究して、その人物になりきろうとしてきました。しかし、今回は原作や参考になる人物がいなかったため、知人、友人あらゆる伝をたどって実在しない日系三世のアメリカ大統領特使になりきろうとしました。
石原:まず、人脈をたどりました。アメリカで、政治の方で活躍している方や、ニューヨークの日本大使館で働いている方などを紹介してもらい、話を聞いて、服装から持ち物、考え方、髪型、そして英語と日本語の割合や、どれがカタカナ英語かなど、いろいろな話を聞いて、打ち合わせの段階で提出しました。それこそ持ち物も、こういうペンを使うんです、とか、こういう時計をつけたいんです、など、そういうのも含めて。
石原さとみがヒロインを務める映画「シン・ゴジラ」が公開 男性社会の中で輝くキャリアウーマン像を語るより
https://www.wwdjapan.com/focus/interview/model/2016-07-29/17552/2
プライベートの人脈をたどり、米政府で働いていた女性を自宅に招いて取材した。「日本語のどの文字が苦手なのか、癖も聞いて、助けてもらいました。ただ、癖は強調しすぎると日本語自体が下手なように聞こえちゃうし。微妙に下手っていう、その加減が難しかった」
【シネマの小箱】29歳・石原さとみ「30代怖くなくなった」よりhttp://archive.fo/CoQaM
もちろんそんなことは当たり前のことで、他の役者さんたちも言わないけど努力しているでしょう。
日向徹になら、
て言われちゃうことは間違いなし。
でも、私たちがそう思わなかっただけで、実は石原さんはちゃんと日系アメリカ人を演じていたんです。
シンゴジラを日本で見たとき石原さとみのキャラだけが現実感がないような浮いてるような気がしていたがワシントンDCに来たらああいう日系女性が沢山いたので庵野に脱帽
— OL王 (@super_ol_war) 2017年6月12日
また、このような記事もありました。
映画「シン・ゴジラ」は、ゴジラ対策を話し合う政府高官たちが集まる首相官邸や危機管理センターの情景がリアルという映画評が公開直後から出ていましたが、アメリカ人の登場人物も十分リアルに感じられるのです。映画「シン・ゴジラ」は、「ゴジラ」という架空の生物を中心としてストーリーが展開するのですが、映画で描かれたことは、すべてが実際にありそうだ、と思ってしまう映画でした。
2016/映画「シン・ゴジラ」=アメリカ大統領特使カヨコ・アン・パターソンは、実在しそうな人物http://digest.culturalnews.com/?p=5627
私にもこういう知識はなかったので、実際のところ石原さんのあの演技は現実に即しているのかどうか、ずっと正解を知りたいと思っていました。だから、このツイートを見つけたときにはとても嬉しかったです。
実際に日系アメリカ人に会ったことのある人なんてそうそういるものじゃないですものね。まさに石原さんの言うとおり、「受け取る側の知識や経験で感じ方が変わる」という良い例です。
また、こちらはメイクの仕方とか服装とかが現実の大統領補佐官に似ているという話。
現実社会で来日中の大統領補佐官。
シンゴジで来日した大統領特使。#シンゴジ実況2017 pic.twitter.com/Yopwe7qSZY— シン・あざらし@第2形態 (@fujikiyo0407) 2017年11月3日
ただ、この件については写真の撮り方とか偶然似た表情とかで一致している部分が大きいというのもあると思います。そこを踏まえた上で石原さんがリサーチした政府関係者のメイクだとかファッションだとかが的確だったことの証左にはなると思っています。
カヨコのファッション
さて、次にカヨコのファッションについて、紹介していきたいと思います。まずは石原さんが衣装までこだわって作っていたと言う話。
こだわりは衣装にも及んだ。劇中、ボディーラインが美しく映える衣装は、旧知のデザイナーに依頼し、自分に合うスーツを1ミリ単位で測って製作している。「アメリカの女性のファッション、メイク、持ち物、しぐさ、考え方も聞いて。自分が努力しているのをアピールして、自身を鼓舞するためにピチピチのスーツを着てるって聞いたので。ぴったり作っちゃったので撮影中、固形物を食べられなかったのはしんどかったですけどね」
【シネマの小箱】29歳・石原さとみ「30代怖くなくなった」よりhttp://archive.fo/CoQaM
劇中ではZARAで購入したことになっていますが、実際にはオーダーメードの服だったんです。(平成30年3月18日追記:服を作成した方の記事がありました。【PRESS NEWS】東宝映画「シン・ゴジラ」石原さとみさん衣装をAULAデザイナー川島幸美が制作)因みにこのZARAについてですが、「ジ・アート」に掲載されているプロットによるともともとはユニクロだったんです。それを庵野監督の奥さんである安野モヨコさんのアドバイスで変更したそうです。(20年の集大成「安野モヨコ展 STRIP!」 漫画家・安野モヨコ インタビューhttps://www.honeyee.com/art-culture/160921_moyoco-anno)
これが実はぴったりとはまっていたことが先ほども紹介したイバンカさんのアメリカ出発前の服装がZARAの服であったことから裏付けられました。こちらは安野モヨコさんのセンスに感服です。
「ZARAはどこ?」
実在する大統領補佐官もZARAを着る?
悩みながら役作りして演じたカヨコ・アン・パタースンにリアルが近づいてきた???#シン・ゴジラ #石原さとみ #さとみん会 pic.twitter.com/XOxABNwDEZ— お国らぶ (@okuni1414) 2017年11月5日
ちなみに私は映画を初めて見たときはZARAを知らなくて「?」だったけど、後でZARAが自分の地元(どちらかというと田舎)にもあったことをたまたま見つけて驚きました。ZARAってざらにあるんだって。
また、イヤリングなどの小物についてもきちんと考えて付けているんだなと言うことがわかる記事も見つけましたので紹介します。
ひらりさ:
カヨコが最初にパーティーから出てきた時のピアスは、ちょっと大きめのゴールドで、その後はずっとパールのピアスをしてたんですよ。でも、最後にすべてが終わった時には、また最初の大振りのピアスをしてるんです。なんかすごくTPOを考えてるんだな、と感じましたね。
http://originalnews.nico/318/4
石原さんはピアスは開けてないのでイヤリングですが、今回、来日したイバンカさんも大きめのゴールドのイヤリングかピアスをしていました。こういうところもきちんとリサーチして再現しているんですね。
最後にカヨコが初めて登場したシーンで着用していたジャケットについて紹介しておきます。
米海軍フライトジャケット
バズリクソンズ BR80446 TYPE G-1 SUKA EMBROIDERED LINING
http://ameblo.jp/junkyspecial/entry-12188827666.html
先日、来日したトランプ大統領は空軍のフライトジャケットを着ていました。同じ横田基地に降り立ったカヨコは海軍のフライトジャケットを着ていてこれも面白い対比だなあ思いました。
カヨコはカリフォルニアなまりの日系人だった!?
ルー大柴と揶揄されたカヨコの日本語、英語混じりのしゃべり方ですが、バイリンガルの方は実際にこのようなしゃべり方をするそうです。
私は仕事柄、バイリンガルの人たち、つまり英語と日本語の両方を話せる人たちと話すことが多くあります。そのとき面白い事が起こります。会話は、取りあえず日本語から始まるのですが、だんだんと話に熱が入ってくると、英語が交じり始めるのです。
日本語の中に“カタカナ英語”を混ぜるhttp://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/15/093000004/093000001/
日本人の頭の中にあのようなしゃべり方をするのはルー大柴さんだという刷り込みがされているためにどうしても違和感を感じてしまうのかもしれません。ということで悪いのはルー大柴さんということで。冗談です。(^_^;
まず、カヨコの特徴的な喋り方、英単語をnaturalに発音するものは、真似しようとするとなかなか難しいことを知っている。発音体系の違う言語を瞬時に切り替えるのは難しい。あの早さで演技を交えて行っているのは役者根性を感じる。
また、あの喋り方誰かに似ていると思っていたのだが、しばらくして気付いた。MITメディアラボの石井裕教授があの喋り方をしていた。おそらく日本語と英語を自由に操る方にとっては基本的なことなのだろう。シン・ゴジラ:感想(約1万5000字:未鑑賞者の閲覧を禁ず)
http://toyozumikouichi.hatenablog.jp/entry/2016/08/05/225033
この方のブログで紹介されているMITメディアラボの石井裕氏の動画をYoutubeで見たらたしかにカヨコと同じだった。(^_^;(石井さんもネイティブじゃないけど)
カヨコの発音に関して面白い記事を見つけました。
それまで前のめりになって観ていたのに、「カヨコ・アン・パタースン」役の石原さとみがでてきた途端に、わたしはどひゃっ! とのけぞった。なぜカヨコ!
断っておきますが、石原さとみの演技や英語力がだめというのではないですよ! とってもチャーミングなキャラクターだったし、カリフォルニアなまりの英語も自然でベリーグッドだった。
【ネタバレ注意】米在住の翻訳家が「シン・ゴジラ」で驚愕したこと
http://news.livedoor.com/article/detail/12364639/
カヨコの英語はカリフォルニア訛りだった!石原さんが教わった人がカリフォルニア訛りの人だったんだろうなあ。ただ、アメリカにはそもそも日本の標準語にあたるような英語がないそうで、さらに日本とは比べ物にならないくらい方言があり、それに加えて外国人がそれぞれの母国語訛りで話すので発音のバリエーションという意味ではカオス状態みたいです。ただ共通して言えるのは訛りがあろうとなかろうとみんな堂々と話しているということです。
「石原さんの英語は自然でした。
『完全に米国人の英語か』といわれると、少し違います。
でもそれは、日本語でいうなら、“標準語と違ってなまりがあるかな”くらいのこと。
日本人は細かい発音を気にし過ぎ。そういうことを気にしなくなれば、本当はもっと話せるはずです」
シン・ゴジラで散々 石原さとみの“英語”外国人の評判は?より
http://asag.seesaa.net/article/445352943.html
結論から先に言うと、ほぼアメリカ人客で埋まった劇場で彼女の英語を笑うような人はいませんでした。
一緒に観に行った友人(米人男性38歳)も、「ハリウッドにはなまりのある英語を喋る人なんてゴマンといるし、悪いこととは思われていない。聞き取りにくい部分もあったけど、言いたいことはちゃんと伝わったんだから問題ないよ」という意見でした。
日本人が英語を話すときに(聞くとき)発音をやたらと気にするというのは英語を話せる人にとっては共通認識のようです。
英語の発音は枝葉の部分、カヨコが何を言っているのか、カヨコを通して庵野監督は何を伝えたかったのかが大事だと思うんですよねえ。
英語関連で他には、カヨコが「That’s right It’s the DOE’s code name “Godzilla”」といいながら両手でピースした指をクイックイッっと曲げるジェスチャーをしますが、これは英語圏でダブルクォーテーションを意味するジェスチャーだそうです。
台本には書いてないので恐らくこのジェスチャーは石原さんが独自に入れたのかなと思いました。
名前の由来について
カヨコなどアメリカ政府の人物の名前はジェイムズ・P・ホーガンのSF小説「未来からのホットライン」(創元推理文庫)の登場人物から名付けられているという情報がありました。
シンゴジラはまった人、未来からのホットライン読むといいよ。外国人の名前の元ネタたぶん全員この小説から#シン・ゴジラ
— papageno (@pa_pa_geno) 2016年8月12日
私がこのSF小説を読んだのは約30年程前なので、このツイートを見るまで全く気づきませんでしたが、手元にある本を確認すると確かにその通りのようです。
ロス大統領は、小説の主人公の祖父チャールズ・ロスから。カヨコのミドルネームとファーストネーム「アン・パタースン」はヒロインの名前です。その他にケネス・ランシング、グレアム・カスリーなどそのまんまの名前が出てきます。
また、ドイツの研究所の名前がバーグヘッド科学電算研究所と、上記小説のバーグヘッド核融合研究所をもじったものであり、「シン・ゴジラ」の台本にはバーグヘッド科学電算研究所の館内アナウンスで「第2回タウ波発生実験」という記述があったりします。
この「タウ波」は、「未来からのホットライン」に登場する時間を逆行するタウ粒子のパルス波の通称なので庵野秀明監督がこの小説を意識していることは間違いないと思います。
もしかして、「未来からのホットライン」のようにこの映画の世界ではすでにタイムマシンが完成されているのかも。(タイムマシンといってもこの小説のものは情報しか送れないですが。)
核攻撃によるゴジラの殲滅に失敗した未来からゴジラの情報がタイムマシンで過去に送られてカヨコが日本に来ることになり、牧博士の暗号を記した図が巨災対に届けられ、ゴジラの凍結に成功したという裏のストーリーを想像してみるのも楽しいかもしれませんね。(詳しくは小説を読もう)
さて、カヨコというファーストネームの由来ですがこちらは安野モヨコさんの漫画「ハッピー・マニア」の主人公、重田加代子から名付けられたそうです。
『シン・ゴジラ』の登場人物の元キャラ教えます!?カヨコ・アン・パタースン編http://annomoyoco.com/news/5617/?
最後に
さて、カヨコ・アン・パタースンについて人物像からファッション、英語の話し方までいろいろな情報を元に補完してきました。
初めてシン・ゴジラを見たという方の参考になれば幸いです。
最後に、カヨコ役の石原さんと尾頭ヒロミ役の市川実日子さんが共演するTBS金22ドラマ「アンナチュラル」が来年1月から放送されますので、この映画で二人に興味を持った方は是非みてみてくださいね。アンナチュラル公式ホームページhttp://www.tbs.co.jp/unnatural2018/